生存報告会

アンチョビキャベツパスタ
アンチョビキャベツパスタ

シャレた器にちんまりと山高に盛ればパスタは映えるらしいってことは知ってはいるさ。そういう写真は他のサイトでお楽しみください。もはやここは個人的なライフログなのである。

読了:東京藝大で教わる西洋美術の見かた[佐藤 直樹]

東京藝大で教わる西洋美術の見かた

東京藝大で教わる西洋美術の見かた

  • 作者:佐藤 直樹
  • 出版社:世界文化社
  • 発売日: 2021年01月28日頃

これが藝大の美術史だ。作品のメッセージを読み解いて、鑑賞眼を鍛える!

序章 古典古代と中世の西洋美術/ルネサンスーアルプスの南と北で(ジョット ルネサンスの最初の光/初期ネーデルラント絵画1 ロベルト・カンピンの再発見/初期ネーデルラント絵画2 ファン・エイク兄弟とその後継者たち)/ルネサンスからバロックへー天才たちの時代(ラファエッロ 苦労知らずの美貌の画家/デューラー ドイツ・ルネサンスの巨匠/レオナルド イタリアとドイツで同時に起きていた「美術革命」/カラヴァッジョ バロックを切り開いた天才画家の「リアル」/ビーテル・ブリューゲル(父) 中世的な世界観と「新しい風景画」)/古典主義とロマン主義ー国際交流する画家たち(ゲインズバラとレノルズ 英国で花開いた「ファンシー・ピクチャー」/十九世紀のローマ1 「ナザレ派」が巻き起こした新しい風/十九世紀のローマ2 アングルとその仲間たち)/モダニズム前夜のモダンー過去を再生する画家たち(ミレイとラファエル前派 「カワイイ」英国文化のルーツ/シャルフベックとハマスホイ 北欧美術の「不安な絵画」/ヴァン・デ・ヴェルデ バウハウス前夜のモダニズム)

美術史を知ると、美術館で絵画や彫刻を見るときに、どこに注目すればずっとおもしろくなるのかが分かってくる。企画展なんかで入口に展示のテーマに関する概説が最初に掲げてあるけれども、そこに書かれていることを一般の素人は読んでも普通は理解できない。あの概説には、今回の企画展ではここを押さえて鑑賞して欲しいという学芸員の思いが詰まっているのだが、やはり最低限の美術史の知識がないとあれを理解するのはつらい。しこうして一般人はとりあえず話題の美術展に出向くものの、好きか嫌いかのレベルでの感想しか持てないまま、出口直前に置かれたスーブニールショップで一番印象に残った絵画の絵葉書を買って帰るだけになるのだ。

さて日本最高峰の藝術大学である東京藝大でどのような西洋美術史を扱っているのかを垣間見てみたい。前書きにあるように、藝大に入って来る学生は一通りの美術史は知っていることが前提であり、そんな彼らにどのようなことを教えているのか?それでいて一般人に難解にならないような内容にまとめた入門書が本書。こういうアプローチで西洋美術を見ていきますよというエッセンスであり、コンパクトな西洋美術史ダイジェストなのでサクサク読み進めていける。なのでとても面白いが、残念ながら中身はとにかく浅い。すこぶる物足りないのだ(タイトルに「東京藝大」を標榜するのだが構えることはないぞ)。まずは西洋美術史に興味を持ってもらうことが本書の目的だからだろう。山紫水明を愛でる日本人はフランス印象派が大好きだけれども、本書ではあえて印象派には触れていない(藝大の学生にとっては今更の極みであろう)。誰もが知っている定番ではなく、一般人が目にしたことはあるけれども実はあんまり詳しくないという絵画や作家を取り上げてあるのだ。

一般にルネサンスと呼ばれる現象(古代復興)は西洋美術史において実は何度も起こっているのだが、その最大のものがよく知られたイタリアルネサンス。なぜ最大のルネサンスはイタリアで起こったのか?からスタートする。その後の西洋美術史の流れの中で大きなくくりはあるものの(ルネサンス、ロマネスク、バロックなど)それぞれの地域、時間、そして芸術家が相互に影響しあっていく様を、作品を通してその軌跡をたどっていく。そりゃ人間復興も行き過ぎると中世回帰の運動も起こるよなとか。豊富な図版とともに、その作品のそこを見ればいいのねという勘所が具体的に述べられていて興味深い。

東京藝大で教わる西洋美術の見かた[佐藤 直樹]
東京藝大で教わる西洋美術の見かた[佐藤直樹]【電子書籍】

生存報告会

ベーコンと小松菜のバター醤油パスタ
ベーコンと小松菜のバター醤油パスタ

作って食べたものの写真を晒すだけのブログに成り下がってしまっている……。映えていないけれども、この程度ならブログにする意味はないかも。