洒落たHの書き方?

異名同音(エンハーモニクス)というものがある。平均律で調律されていることが前提ではあるけれども、例えば「ドのシャープ」と「レのフラット」みたいな関係。楽譜に書いてある音は違うけれども、ピアノでは同じ鍵盤を弾くことになる。

さて、時たま「ドのフラット」というのが楽譜に書かれていることがあるわけですよ。当然、ピアノの鍵盤だと白鍵の「シ」を弾くことになるんだけれども。だったら最初から「シ」って書けばいいじゃない?って思う人もいるだろう。なんで、そんな書き方があるのかというと……。例えば、ハ長調の曲でドミソの和音(いわゆるメジャーコード)があるじゃない。こういう状況で第3音を半音下げて短三和音(いわゆるマイナーコード)にしたいときは、ミに対してフラットをつける。さて調が変わって変イ長調(フラット4つの長調)の世界では、主和音はラのフラット、ド、ミのフラットになるよね。ここで、この和音をマイナーコードにしたければ、第3音にフラットをつける。よってこういう場合に「ドのフラット」というものが出てくることになるのだ。つまり調性音楽における必然の理屈から出てくる書き方なのだ。

それなのに、あぁそれなのに……。自称「俺は音楽には詳しいぜ」というアマチュア作曲家の方が自身で書かれた楽譜に「ドのフラット」が書かれていたことがある。どう考えても、その意図されている展開からは「ド」をフラットにする理由がなく「シ」と書けばいいのではなかろうかという箇所でである。楽譜を難解にして読みにくくする嫌がらせだろうかとも思ったのだが、どうやら「俺は異名同音というものを知っているんだよ、ドのフラットは「シ」だから、「シ」をおしゃれに書いてみたよ」ということなのではないかと思ったり思わなかったり。

ダブルシャープ(ラフはダブルシャープを高校生になるまで知らず、楽譜の印刷汚れだと思っていた)やダブルフラットなんてものもあるけれども、これらはある音を半音上げたり下げたりしたいけれども、その音にはすでに調号としてシャープやフラットがついているって場合に使うことが多い。つまりは調性音楽だからこそ出てくる記号なのである。無調の音楽にはダブルシャープやダブルフラットは原則出てきません。

なんでダブルシャープをつけるの?その意味とは? | はんなりピアノ♪

19世紀初期の「ダブルシャープ」「ダブルフラット」攻略法 ピアノ曲事典 | ピティナ・ピアノホームページ

音楽をやるなら楽典って大事だよ。いきなり楽典の本読むのも大変だから、ある程度音楽経験を積んで、ちょっと余裕ができたらぜひ勉強してみてください。あ、そういうことだったのねってきっと思うから。

読了:オイラーの公式がわかる (ブルーバックス) [ 原岡 喜重 ]

「オイラーの公式」って知ってる?指数関数と三角関数が虚数を使うことで関連付けられている式。なんでこんな等式が成り立つの?この式の意味は何?って思うものだよね。それを、高校生でもわかるように説明しているブルーバックス。微分の定義からeを底とする指数関数、sin, cosの三角関数を微分するとどうなるか。そして、それらの関数をテイラー展開するとどうなるか。そうすると、公式が見えてくるんだよね。こんなシンプルにわかっちゃっていいわけ?ってくらい感動もの。この「オイラーの公式」の使いどころは、sin, cosは互いに影響しあう関数だけれども、それを1つの指数関数として扱うことができる、つまり計算が簡単になるという点。「オイラーの公式」についてのひとしきりの証明と説明が終わった後に、実際の応用として、振り子、交流回路、電場と磁場(マックスウェル方程式)の計算を軽くやってのけるのだが、この時にオイラーの公式でいかに計算が楽になるのかが実感できる。(説明すれば高校生でも理解できる内容ではあるけれども、一般的には大学の教養課程の最初のころにやるような内容)

「博士の愛した数式」という映画化もされた小説があるけれども、あの中にも登場していたなぁ。オイラーの公式の変数にπを入れた時の等式が(下記wikipedia参照)。

オイラーの公式がわかる (ブルーバックス) [ 原岡 喜重 ]

wikipediaの「オイラーの公式」の項

wikipediaの「博士の愛した数式」の項

読了:1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 [ デイヴィッド・S・キダー ]

1日1ページ(実はページ数は1日2~3ページ)で、世界の教養に触れられるという雑学本だ。月曜日は歴史、火曜日は文学、水曜日は視覚芸術(美術とか建築とか)、木曜日は科学、金曜日は音楽、土曜日は哲学、日曜日は宗教というテーマ。広く浅く、主に歴史に沿って各分野の各論が紹介される。あとがきにあるように、これで興味を持ったら、さらに本を探していろいろ読んでみてくださいねというあくまでも教養入門本。なので記事内容は初心者にもやさしく読みやすい(とりわけ豆知識はほぼゴシップ)。ある程度知っている分野に関してはあきらかに物足りない。書かれているテーマはほぼ欧米の歴史に沿ったもの。なかでもアメリカに関係あるものは多い。歴史において「建国の父たち」や「南北戦争」の話題が複数回取り上げられる。音楽では「アーロン・コープランド」に2回分も割かれている(なのに「ガーシュイン」と「バーンスタイン」は合わせて1回分にまとめられていたりもするが)。

視覚芸術のカテゴリは多くの建築や絵画が出てくるんだけれども、いかんせん図がほぼない本なので、どの建築や絵について解説しているのかがわからない。google画像で絵のタイトルなんかで検索しながら読むのがよいかと。

個人的に面白かったのは「文学」と「哲学」。「文学」カテゴリでは著者名とかタイトルはよく知っているけれども、内容はまったく知らない本とか、あらすじを紹介してくれているのは面白い。「ユリシーズ」ってそういう話だったんだ。メルヴィルの「白鯨」、「誰もが知っているけれども実際に読んだことがある人は少ないだろう」には「うんうん」とうなずいてしまった。自分も登場人物は知っていても読んだことないもん。「哲学」カテゴリでは、よく見かける言葉だけれども哲学では世間一般的な意味では使われていない言葉に面食らう。今使っている言葉の定義からきちんとやっておかないと議論もへったくれもないということを垣間見、「だから哲学って誤解されるのでは?」と思うことしきり。

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 [ デイヴィッド・S・キダー ]

読了:自虐の詩 (竹書房文庫) [ 業田良家 ]

ここのところ立て続けに、ネット上でこのマンガに言及する記事を2本目にしたので読んでみた。ん~~、ラストを読んで思い出した。これ映画化されているよね。ラストシーンだけは覚えていたよ。これまでまったく覚えていなかったということは、そんなに映画はおもしろくなかったのかも(見たことさえも忘れるくらいだし)。

前半(上巻)は、ダメダメな男とそれに惚れている薄幸の女の貧乏な同棲日常生活が描かれる4コマ漫画。正直、絵も好きではないし、ストーリーもたいしたことないし、お約束落ちのちゃぶ台返しも面白いとは思えなかった。ところが、後半(下巻)で、女の過去が描かれだすと(特に中学時代)、がぜん面白みを増すのだ。じゃ、後半だけ読めばいいのかといえば、そうではない。前半があったから、この過去の回想が生きてくる。人に歴史ありなのだ。そして中学当時の親友と再会するラストで感動するのだ。

自虐の詩(上巻) (竹書房文庫) [ 業田良家 ]

自虐の詩(下巻) (竹書房文庫) [ 業田良家 ]

読了:物語エルサレムの歴史 旧約聖書以前からパレスチナ和平まで (中公新書) [ 笈川博一 ]

イスラエルの歴史を通史として復習しておこうと思って読んでみた。イスラエルの歴史としては、旧約聖書の時代、新約聖書およびローマ時代、第1次大戦以降の現代史を押さえておけば、まぁいいかなということを再確認。現代史は著者の経験を踏まえたエッセイ風でわかりやすかった。話題ごとに歴史の叙述が前後したり、何の話をしているのかがつかみにくかったり、若干読みにくい(落ち着いて前後の文を改めて読み込めばなんとかわかるのだが)。

物語エルサレムの歴史 旧約聖書以前からパレスチナ和平まで (中公新書) [ 笈川博一 ]

訃報

S吹奏楽団のトロンボーンパートTさんが亡くなったと連絡あり。Tさんとは8年くらい一緒に演奏してきたのに、もう一緒に吹くことができないんだ。音楽の話だけでなく、TさんはIT業界の先輩でもあり、仕事の話もよく聞いていた。慕っていた人の喪失にすっかり動揺している。

しばらく練習に来れないだけで、また「ご無沙汰~」とか練習に来てくれそうな気がしてしまう。

4月のS吹奏楽団定期演奏会は、ぜひともいい定期演奏会になるようにがんばろうと思う。

ご冥福をお祈りいたします。

読了:AI vs.教科書が読めない子どもたち [ 新井 紀子 ]



AIに東大入試を合格させる「東ロボくん」プロジェクトの責任者による話題の著書。現時点でのAIの実態を説明する科学記事の前半と、それをうけてAIによって仕事を奪われるという危惧を理解するための教育調査報告とその対策展望の後半よりなる。

「東ロボくん」プロジェクトの経験からAIに得意なこと、不得意なことを説明していく。AIはコンピュータである限り数学のロジックに直さなければ利用できないこと、入試問題で高得点を取ることができるようになってはきたが、フレームワーク問題が存在すること(チェスのAIはチェスのことしか解決できない)や、入試問題そのものやAIが導き出したその解答の意味をAI自身は理解しているわけではないこと(統計的に処理して作り出したものでしかない)などが説明される。

後半では、じゃAIが得意なことや苦手なことを、人間はどれくらい対応できているのか?というテストをしたところ、なんと簡単な理論文の読解さえできない層が存在することが明らかになった。教育がまずは目指さなければならないことは、最低限「教科書に書かれていることを読めばわかる」ことであるという。これができないと、単なる統計処理しかできないAIと能力の差別化が図れず、AIによって仕事を奪われることになるだろうという。

ラフはAIに関しては、割と楽観しているのでAIに仕事を奪われて仕事がなくなるということは、まぁ当分(ここ数十年くらい)心配する必要はないんじゃないの?とは思っている。シンギュラリティの到来に関しても、今のAIの設計を根本的に変えるような革新的思考や技術が生まれない限りは、来ないだろうなぁと考えている。

AI vs.教科書が読めない子どもたち [ 新井 紀子 ]

月の旅人

今年も縁あってT吹奏楽団の春の恒例行事アンサンブル大会に参加させてもらうことになりました。今年の参加は金管8重奏。お題は 高橋宏樹作曲「月の旅人」です。本日、初合わせに参加してきました。変拍子やベルトーンなどちょっと面倒くさいところもありますが、チームの合言葉は「気を確かに」。とりあえず本日はなんとか通すところまで。練習はあと2回。

そして今日も映画

「インターステラー」。面白いし楽しめるSF映画だったけれども、いかんせん長い。ちょっと疲れた。第87回アカデミー賞「視覚効果賞」受賞作品。

「アリスのままで」。ジュリアン・ムーア後半に向けて本領発揮。第87回アカデミー賞ジュリアン・ムーア「主演女優賞」受賞作品。

ゆるゆると映画でも

家で映画見たり。今日見たのは「下妻物語」と「100歳の少年と12通の手紙」。

桃子の祖母役は先日亡くなった、樹木希林。

音楽は先日亡くなった、ミシェル・ルグラン。