読了:数の発明[ケイレブ・エヴェレット/屋代通子]

数の発明

数の発明

  • 作者:ケイレブ・エヴェレット/屋代通子
  • 出版社:みすず書房
  • 発売日: 2021年05月08日頃

数万年前の狩人が骨に残した刻み目、1+1を理解する新生児のまなざし。数を持たないピダハン族と暮らした著者が縦横に語る、数の誕生の軌跡。

序 人間という種の成功/第1部 人間の営為のあらゆる側面に浸透している数というもの(現在に織り込まれている数/過去に彫りこまれている数/数をめぐる旅ー今日の世界/数の言葉の外側ー数を表す言い回しのいろいろ)/第2部 数のない世界(数字を持たない人々/幼い子どもにとっての数量/動物の頭にある数量)/第3部 わたしたちの暮らしを形作る数(数の発明と算術/数と文化ー暮らしと象徴/変化の道具)

ヒトにもともと備わっている数認識能力は次の2点らしい。
・3程度までの個数認識は一瞬で行える
・3より大きい数認識についてはある程度の量差がある集合のどちらが多いかを判断できる

ヒトは、3より大きな量を安定して正確に識別するためには、数の言葉を使って稽古を積むことが必要である

3より大きい量を具体的に認識する(数える)ためには訓練が必要で、それによりヒトは大きな数を実際に数えることができるようになっていくのだとか(3までと3より大きい数の数え方はシームレスではない?)。こういったことを言語学、人類学、生物進化学などさまざまな視点からどういうことなのかを実験例をひいて説明していく。なかなか興味深い。

農業革命は人類が桁の大きな数を見出していなければ起こりえなかった

数の発明[ケイレブ・エヴェレット/屋代通子]

不穏な響き

職場にて。「これはチカンできない」「これならチカンできるんじゃない?」「その場合は警告が必要では?」とか言っていたら、近くにいた総務の人から「ちょっと響きが不穏なので『置換』は『置き換え』って言ってもらえませんか?」とやんわり提言された。うかうか仕様の確認もしてられん。

へなちょこコーヒーオーダーミッション

数字の店名のコンビニでしばしば店頭コーヒーを買うんだけれども、いつも「ホットコーヒー」のサイズ「レギュラー」をレジ前で言い淀んでしまう。コーヒーってさぁ「レギュラーコーヒー」っていうのもあるじゃない?「インスタント」の対になるというか、カテゴリーとしての「レギュラー」。だからレジで頼むときになってコーヒーが「レギュラー」なのかサイズが「レギュラー」なのか「どっちだっけ????」ってなるときがある。いっそ「レギュラーコーヒーのレギュラーください」でいいかね。いや通じるとは思うんだけれどもさ。

サイズLMSはそれはそれでまた面倒くさくって。割とよく行くコーヒーチェーン店のサイズは「L」「M」なのだよ。口頭でのサイズ指定が「エル」なのか「エム」なのか店員に通じにくいときがしばしばあって(ラフの活舌の悪さはともかく)、いつも「エルで。えぇ大きいサイズの方で」とか「エム、普通サイズの」とか言葉を足している。それはそれで面倒くさい。

最近はすっかり大衆化した若干意識高い系風チェーン系コーヒーショップの場合は「short」とか「tall」とかだよね。その昔一番巨大な「ベンティ」を頼もうとしたんだけれども「ベンティ」なんてめったに頼まないからさぁ、とっさに出てこないの。で「そういえば、Vから始まる単語だったなぁ」と思い出して「ヴェイキャントください」と口走ったことがある。お前は空のコーヒーが欲しいのか?カップだけが欲しいのか?でも、店員さんは優しかった。「ヴェンティですね」とほほ笑んでくれた。ありがとうその時の店員さん。

あ、そういえば、数年前ハノイに行ったとき、このとにかくやたらとコーヒーショップの多いヴェトナムの首都で、一人でコーヒーショップに入ったのよ。安心安全の外国人にも優しいというヴェトナムで大規模展開している有名コーヒーショップチェーンを選んだものの、英語さえままならないラフは、「this, this, please!!」と言いながらメニューを指さして注文したよ。

読了:言語学バーリ・トゥード Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか[川添 愛]

ラッシャー木村の「こんばんは」に,なぜファンはズッコケたのか.ユーミンの名曲を,なぜ「恋人はサンタクロース」と勘違いしてしまうのか.日常にある言語学の話題を,ユーモアあふれる巧みな文章で綴る.著者の新たな境地,抱腹絶倒必至!

ここ最近なりをひそめているけれども、ラフは読みようによっては言葉ケーサツみたいなことを垂れ流していたりすることがあるのだよ。でも、これを読んで「あぁ俺のやっていることってばなんて恥ずかしい……」と思うことしきり。

東京大学出版会の広報誌「UP」(University Pressの略でユーピーと読むらしい)に連載している川添愛氏の「言語学バーリ・トゥード」をまとめたもの(+書き下ろし)。「言語学」とあるが、日常シーンに登場する言葉のおもしろさや、なぜそう感じるのかを学術テイストで考察していくエッセイ。堅苦しくないユーモアあふれる読み物で手を付けたら止まらない。おもしろいけれども、こういう文章を書くっていうのは相当な知的バックボーンを持っていないとムリだよなぁ、と思ったり思わなかったり。また随所に著者のプロレス愛があふれていてほほえましい。「バーリ・トゥード」の意味もおもしろいいきさつで説明されているので、気になった方はぜひ読んでみて。

言語学バーリ・トゥード[川添 愛]
言語学バーリ・トゥード(言語学バーリ・トゥード)[川添愛]【電子書籍】

関西人?

先日観てた海外動画(英語)で、会話の文末に付け足しで言う「maybe」の日本語字幕が「知らんけど」やった。

イーエスピー

昨日「call」が「cool」に聞こえるって書いたけれども、イギリス英語ってさぁ「can’t」も「コント」って言ってない?「I can’t」って「私はコントをします」に聞こえて仕方がないよ。

「Does he know the way to A?(彼はAへの行き方を知っていますか?)」
をラフは
「Does he knows wait A?」
とか聞こえちゃっていたりもする(ちゃんと考えればそれが文法的におかしいことは分かる)。

なんでみんな英語聞き取れるの?エスパーなの?

Goodbye game

甲子園では高校野球が盛り上がっているそうだが、ラフはとにかく野球のことを知らない。

「スクイズ」ってなんだよ。具の載っていないクイズか?
wikipediaの「スクイズプレイ」の項

謎の勝利「サヨナラ勝ち」を見ても何が起こったのか分かっていない。
wikipediaの「サヨナラゲーム」の項
英語で言うと「Sayonara win」なのか?(google翻訳先生によると「Goodbye win」と出てきた)
野球のサヨナラ勝ちをアメリカでは、何と言うんですか? – それとも、… – Yahoo!知恵袋
野球の”サヨナラ勝ち”を英語では(メジャーリーグでは)何ていうんでしょうか?… – Yahoo!知恵袋

「野球を知らない」をなめてもらっちゃ困るのである。(元高校球児で野球好きの彼氏からすると、ラフを相手にしても物足りないことこのうえないであろう……すまん)

キャットタン

S吹奏楽団のAちゃんはうっかり迷言を吐いてしまうことで知られている。飲み屋で「生マッコリ」を頼もうとして「生もっこり」と口走ってしまった伝説を持つ。

Aちゃんは日常会話レベルであれば英語も中国語もできるはずなのだが、先日は「猫舌って英語でなんて言うの?」という質問に対して、間髪入れずに「キャットタン」と言い放った。

「猫舌」は英語で何て言うの? | EIGORIAN.NET~それは英語で何て言う~
猫舌って英語でなんて言うの? – DMM英会話なんてuKnow?

google先生に聞いてみたところ力いっぱい「cat tongue」と返ってきたぞ。

CatTongue
猫舌=CatTongue

逆にぃ~

「逆に」っていう言葉の使い方については何度かここでも取り上げたんだけれども、この言葉が使われた場合、前後で論が「逆」になっていない場合がままあると指摘してきた。

「あなたが思っているのとは違って、意外なことに」という文脈として使いたいのだろうなという例をよく見かける。ここで受け手は「いや思ってないよ」という応えは許されていない。あくまでも「逆に」と言いたい話者の方が一方的に偉いのである。「あなたが思っているのとは違って」というところに「私は気づいているしわかっているんだけれども、一般大衆であるあなた(たち)は誤解しているに違いない」という若干押しつけがましい上から目線を感じる(ラフの勝手な被害妄想か?)。マウント用語の一種になっているのかも?

あとは話題を変えたいときに、「ここまでの話とは変わるんだけれども」っていう意味で「逆に」を使う人も見かける。「それはさておき」っていう感じか。

しかしそんな指摘をするのは野暮なことなのかもしれない。「ヤバイ」と同じように、もはや「逆に」もそれ自体に意味はなく、昨今の日本語においては何にでも使える接続詞化しているのかもしれない。「しかし」も「ゆえに」も「だから」も「そして」も全部「逆に」でいけるのではないかと(乱暴な推測)。