読了:他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。 #なんで僕に聞くんだろう。[幡野 広志]

ガンになった写真家に、アクセス殺到。webメディアcakesで2019年&2020年上期、もっとも読まれた記事1位の人生相談。

はじめにー迷子になった子どもが目的地にたどり着けたなら、それは子どもが頑張ったから/生きる希望を感動ポルノの監督に作られたくない/あなたともあなたの彼氏とも、付き合いたいという人はいない/答えはみつからないし、なんて伝えればいいかわからないけど/勝ち負けで考えることの問題点/二十歳で童貞のあなたへ/配偶者も間違えたら選びなおせばいい/「子どもが生まれたからがむしゃらに働く」ってそれは逆でしょ/これはあなたが結婚するための戦略です。メリットだらけでデメリットはほぼありません/好きなことを勉強し、好きなことを遊べ〔ほか〕

悩み事相談「なんで僕に聞くんだろう」の第2弾。第1弾の感想はこちら。

読了:なんで僕に聞くんだろう。[幡野広志]

タイトルのように「他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと」。相談者は真剣に悩んでいるんだろうけれども、生の相談文面の気持ち悪さったらありゃしない。著者はそれに向き合いつつも自身の価値観で「ダメなものはダメ」「あなたがやらなくてはならないことは○○」とばっさばっさ切っていくが、「息子に同じことを相談されたらどう答えるか?」という判断基準があるのでそこには愛があるような気がする。「他人に振り回される」ことのバカらしさを説く回答が多いかなぁ。でも、相談者はこういった回答をされてもきっと満足していないんだろうなぁ。だってホントは愚痴とか自己憐憫を聞いてもらいたいだけに見受けられる相談が多いんだもん。「自分の悩みはおおごと」なのに、なぜそれを分かってもらえないのか?って思っているはず。この著者は「他人の悩み」の気持ち悪さによく向き合ってると思うよ。

そういえば、この悩み相談連載、一時期炎上していたなぁ……。

他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。 #なんで僕に聞くんだろう。[幡野 広志]
他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。 #なんで僕に聞くんだろう。(なんで僕に聞くんだろう。)[幡野広志]【電子書籍】

読了:奇書の世界史2 歴史を動かす“もっとヤバい書物”の物語[三崎 律日]

奇書を奇書たらしめるものは、読み手の価値観である。人は時代に合わせて「信じたいもの」を選択してきた。時には、嘘にまみれた書物を受け入れて過ちすら犯す。過去は変えられないが、奇書の歴史を学びとし、未来をどう生きるのか。

01 ノストラダムスの大予言(ミシェル・ド・ノートルダム著)世界一有名な占い師はどんな未来もお見通しだった!…のか?/02 シオン賢者の議定書ーかの独裁者を大量虐殺へ駆り立てた人種差別についての偽書/03 疫神の詫び証文ー伝染病の収束を願って創られた、疫病神からのお便り/番外編01 産褥熱の病理(イグナーツ・ゼンメルワイス著)-ウイルス学誕生前に突き止めた「手洗いの重要性」について/04 Liber Primus(Cicada3301)-諜報機関の採用試験か?ただの愉快犯か?ネットに突如現れた謎解きゲーム/05 盂蘭盆経(竺法護 漢訳)-儒教と仏教の仲を取り持った「偽経」/06 農業生物学(トロフィム・デニソヴィチ・ルイセンコ著)-科学的根拠なしの「“画期的な”農業技術」について/番外編02 動物の解放(ピーター・シンガー著)-食事の未来を変えるかもしれない、動物への道徳的配慮について

前作の感想はこちら

読了:奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語[三崎 律日]

前作に引き続き、もともとがネット動画なので、内容は軽くて薄い(前作以上に軽いかも)。軽いのも当然、ネットの民を対象にした「こういう面白い本がある」という紹介なのだから、ちっとも難しくないのである。いわゆる本好きにはちょっと物足りない。個人的には医学生物学関係とITの話題が多かったので、知識を整理する分にしてもかなり物足りなかった。それでも、著者はこの本の対象者を明確に定めており、分かりやすくするためにきちんと記述してある点は相変わらず徹底している。そして言葉もかなり選んで使っている点にも好感が持てる。各章の扉絵もステキ。

今回も、偽書もあれば、奇妙な境遇の本、今では(当時も)否定された理論の本などを取り上げているが、中でもユニークなのは「Cicada3301」の追跡の章。ネット上で話題になったものなのでどういうものかは知っていたけれども、そのいきさつを丹念に追っている。この章で出てくる本は、本そのものというより、本を使った暗号が使われているというもの。あとは「シオン賢者の議定書」(偽書だということは知っていた)がどういう変遷を得て編まれたものかの由来(ウンベルト・エーコによる)はおもしろい。

奇書の世界史2 歴史を動かす“もっとヤバい書物”の物語[三崎 律日]
奇書の世界史2 歴史を動かす“もっとヤバい書物”の物語(奇書の世界史)[三崎 律日]【電子書籍】