読了:やりなおし世界文学[津村 記久子]

やりなおし世界文学

やりなおし世界文学

  • 作者:津村 記久子
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2022年06月01日頃

ギャツビーって誰?名前だけは知っていたあの名作、実はこんなお話だったとは!古今東西の92作。物語の味わいを凝縮した世界文学案内。

ギャツビーは華麗か我々か?-スコット・フィツジェラルド『華麗なるギャツビー』/あるお屋敷のブラックな仕事ーヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』/「脂肪の塊」は気のいい人なのにーモーパッサン『脂肪の塊・テリエ館』/流れよ理不尽の破滅型SF-フィリップ・K・ディック『流れよわが涙、と警官は言った』/こんな川べで暮らしてみたいーケネス・グレーアム『たのしい川べ』/スパイと旅する人間模様ーサマセット・モーム『アシェンデン 英国秘密情報部員の手記』/頑張れわらの女ーカトリーヌ・アルレー『わらの女』/レモンの上司がパインとはーアガサ・クリスティー『パーカー・パイン登場』/技と感動のくだらなさーフレドリック・ブラウン『スポンサーから一言』/終わりのない夜に生まれつくということーアガサ・クリスティー『終りなき夜に生れつく』〔ほか〕
【本書で扱った名作】
『華麗なるギャツビー』 『ねじの回転』 『脂肪の塊・テリエ館』 『流れよ我が涙、と警官は言った』 『たのしい川べ』 『アシェンデン 英国秘密情報部員の手記』 『わらの女』 『パーカー・パイン登場』 『スポンサーから一言』 『終りなき夜に生れつく』 『かもめ』 『ストーカー』『新編 悪魔の辞典』『ムッシュー・テスト』 『闇の奥』 『ノーサンガー・アビー』 『813』『 続813』 『クローム襲撃』 『長いお別れ』 『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』 『山月記・李陵 他九篇』 『スローターハウス5』 『るつぼ』 『スペードの女王・ペールキン物語』 『灯台へ』 『黄金の壺 マドモワゼル・ド・スキュデリ』 『遠い声 遠い部屋』 『知と愛』 『アラバマ物語』 『樽』 『たんぽぽのお酒』 『料理人』 『ワインズバーグ・オハイオ』 『響きと怒り』 『人間ぎらい』 『城』 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』 『ゴドーを待ちながら』 『幸福論』 『肉体の悪魔』 『オー・ヘンリー傑作集』 『欲望という名の電車』 『チップス先生、さようなら』 『蜘蛛女のキス』 『世界の中心で愛を叫んだけもの』 『人形の家』 『ペスト』 『夜と霧』 『長距離走者の孤独』 『子規句集』 『クレーヴの奥方』 『ドリアン・グレイの肖像』 『一九八四年』 『椿姫』 『マルテの手記』 『ボヴァリー夫人』 『リア王』 『マクベス』 『赤と黒』 『君主論』 『自由論』 『マンスフィールド短編集』 『日々の泡』 『マルタの鷹』 『クリスマス・キャロル』 『幼年期の終わり』 『風にのってきたメアリー・ポピンズ』 『緋文字』 『孫子』 『宝島』 『ジキルとハイド』 『アッシャー家の崩壊 黄金虫』 『ハイ・ライズ』 『マイ・アントニーア』 『外套・鼻』 『深夜プラス1』 『カヴァレリーア・ルスティカーナ―他十一篇』 『完訳 チャタレイ夫人の恋人』 『バベットの晩餐会』 『カンディード』 『ずっとお城で暮らしてる』 『ヘンリー・ライクロフトの私記』 『九百人のお祖母さん』 『サキ短編集』 『山海経』 『悪魔の涎・追い求める男 他八篇』 『怪談』 『津軽』 『ラ・ボエーム』 『鼻行類』 『金枝篇』 『カラマーゾフの兄弟』 『荒涼館』

古今東西92作とはいうものの、近現代小説が多い。中でもSF小説が手厚い印象。題名だけは知っているけれども読んだことがない小説、昔読もうとして挫折した小説、昔読んだけれどもピンとこなかった小説、こういった類の作品を改めて読んでみての感想エッセイ。関西人らしい軽妙な「知らんがな」ノリによる紹介が愉快。

身もふたもない、あるいは鼻持ちならない、どうしようもない人間が描かれていようとも、そこに人間というものの本質をしっかり捉えようとしている作者の想いを考察する視点はよい。こんな紹介されたらどの本も読みたなってまうやん。

紙の本で、この活字サイズで、上下2段組のぎっちりな様は、目にも精神にもちょっとつらかった。

やりなおし世界文学[津村 記久子]

Happy Holidays!!

平均的なキリスト教徒の家で、クリスマスの行事は12/24の晩から25日の夕暮にかけて行われる。
その行事とは、晩餐、真夜中のミサ、イヴのパーティー、パーティーの後の嘔吐、
プレゼントの交換、クリスマスの昼食、クリスマスの昼食の後の嘔吐、そして叔母さんへのキス、である。
( ピエール・デブロージュ )

読了:夏への扉〔新版〕(ハヤカワ文庫SF)[ロバート・A・ハインライン/福島 正実]

夏への扉〔新版〕

夏への扉〔新版〕

  • 作者:ロバート・A・ハインライン/福島 正実
  • 出版社:早川書房
  • 発売日: 2020年12月03日頃

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのかー新版でおくる、永遠の名作。

ハインラインの名作古典SF「夏への扉」。いつかは読もうと思っていたんだけれども、ようやく読みましたよ。おもしろかった。1950年代に発表されたSF作品で、舞台になっているのは1970年と未来の2000年。2000年でさえ今となっては昔なのに、古さを感じさせないどころか、今読んでもそんなに違和感ないよ。さもありなん。そうであっても不思議はない。さらに言えばSFというよりもむしろ謎解きものとしておもしろく読めたかも。後半の怒涛の展開にはページを繰る手が止まらない。話が暗くなく、楽天的でさわやかなのも、この作品が多くの人に好まれる要因なのかも。

夏への扉〔新版〕(ハヤカワ文庫SF)[ロバート・A・ハインライン/福島 正実]
夏への扉〔新版〕[ロバート A ハインライン/福島 正実]【電子書籍】

読了:猫の傀儡(光文社文庫)[西條奈加]

猫の傀儡

猫の傀儡

  • 作者:西條奈加
  • 出版社:光文社
  • 発売日: 2020年05月13日

猫町に暮らす野良猫のミスジは、失踪した先代・順松の後を継いで“傀儡師”となった。人を遣い、人を操り、猫のために働かせるのが傀儡師だ。さっそく、履物屋の飼い猫から、花盗人の疑いを晴らしてほしいと依頼があり、ミスジは狂言作者の阿次郎を連れ出した。次々依頼をこなす一匹と一人は、やがて、順松失踪の意外な真相にー!?時代ミステリーの傑作!!

猫の傀儡/白黒仔猫/十市と赤/三日月の仇/ふたり順松/三年宵待ち/猫町大捕物

江戸の猫町で、失踪した先代の傀儡師(くぐつし)の順松(よりまつ)の後を継いだ野良猫のミスジ。猫の傀儡師は傀儡とされた人を猫のために働かせる。人の方はそのことに気付かず猫の問題を解決するよう動かされる。なんて設定なんだけれども、オカルトやホラーではない。猫が主人公だが、起こる事件は人の事件。人の事件に巻き込まれた猫を猫の傀儡師が人を使って助ける江戸人情話。猫と人のバディもの風展開。さらっと読める軽いノリ。前半はいくつかの事件を解決していき、後半では失踪した先代の傀儡師順松の謎を追う。

猫の傀儡(光文社文庫)[西條奈加]
猫の傀儡(くぐつ)(猫の傀儡(くぐつ))[西條奈加]【電子書籍】