
生存報告会 〜 ベーコンとキャベツのアンチョビパスタ

貴金属泥棒で大金を手にした三つ子の前に、ライオンを連れた謎の女が現れたとき、彼らの運命は急転する。わけもわからず向かわされた砂漠の地で、三つ子が目撃する驚愕の超展開とは!?稀代のストーリーテラー・万城目学が挑む、面白さ全部載せの物語。アクションあり神話ありでどのページからも目が離せないジェットコースターエンターテインメント!
シュメール・メソポタミア文明をテーマにした軽妙洒脱な冒険ファンタジー。怒涛の展開で一気読み。コメディタッチな部分もあり気楽に読める。銀亀(ギンガメ)は「ギルガメッシュ」の、榎土(エノキド)は「エンキドゥ」のもじりだね。
珍妙なタイトルだが、文庫化の際には「ヒトコブラクダ層戦争」に改題している。
■ ヒトコブラクダ層ぜっと(上)[万城目 学]
■ ヒトコブラクダ層戦争(上)(ヒトコブラクダ層戦争)[万城目学]【電子書籍】
■ ヒトコブラクダ層ぜっと(下)[万城目 学]
■ ヒトコブラクダ層戦争(下)(ヒトコブラクダ層戦争)[万城目学]【電子書籍】
古今東西、様々な物質が毒殺に用いられ、毒はフィクションでも現実世界でも人々の関心を引きつけてきた。実際の毒殺事件に用いられた11の物質を紹介し、毒がいかにして私たちの息の根を止めるのかを明らかにする。犯罪と化学、医学を掛け合わせたスリリングな科学ノンフィクション。
パート1 死を招く生体分子(インスリンとバーロウ夫人のバスタブ/アトロピンとアレクサンドラのトニック/ストリキニーネとランベスの毒殺魔/トリカブトとシン夫人のカレー/リシンとゲオルギー暗殺事件 ほか)/パート2 土壌由来の死の分子(カリウムと悪夢の看護師/ポロニウムとサーシャの無差別な腸/ヒ素とムッシュー・ランジェリエのココア/塩素とラフキンの殺人看護師)/結び 死神の庭園
序で毒とは何か、毒殺の方法などの概論を軽く述べ、そのあとに続くのは毒物に関する各論。第1部は生体分子の毒、インスリン、アトロピン、ストリキニーネ、トリカブト、リシン、ジゴキシン、シアン化合物を。第2部は土壌由来の毒、カリウム、ポロニウム、ヒ素、塩素を。これらの物質に関する歴史的背景、生体への作用機序、その毒を用いた主要な毒殺事件および裁判等のあらましなどが述べられる。おそらくこれは生理化学教授である著者の大学講義ネタ帳を一般読者向けにまとめたものなんじゃないかなぁ。とにかく面白いのだ。こんな授業だったら喜んで聴講する。生体への作用機序の解説が秀逸で分かりやすい。
昔から使われてきた定番の毒物はもちろん、東欧やロシアが関与したと思われる最近の毒殺事件は未解明な部分が多いにしてもスケールのデカさというかやっていることが大げさすぎて荒唐無稽なバカバカしさまで感じてしまうようなところがかえっておそろしい。とはいえ、著者も言うように物質はあくまでも物質であり、結局はそれをどのように用いるか使う人によるという点は重要。量により毒にも薬にもなるものが多く、それらの物質によって解明された生体の仕組み、そしてその作用機序による医療や薬学への応用も多いのだ。
■ 余った「長ネギ」があったら作って欲しい!「炊飯器」に入れてスイッチ押すだけ!血液サラサラ炊き込みご飯
ドストエフスキー生誕から二〇〇年目の二〇二一年、世界は新型コロナウイルスの感染拡大という誰も予想しなかったかたちで転換期を迎えている。激動の時代を生き、コレラ蔓延というパンデミックも経験した作家が鋭い直感と深い洞察から生み出した言葉には、今を生き抜くためのヒントが含まれているのではないか。資本主義の行方、暴力、信仰などについて残された言葉の数々は、予言のようにも響く。ドストエフスキー初心者にも、熟読者にも衝撃的な現代への提言。
金、または鋳造された自由/サディズム、または支配の欲求/苦痛を愛する、または「二二が四は死のはじまり」/他者の死を願望する/疚しさ/美が世界を救う/intermission 「神がなければ、すべては許される」/「全世界が疫病の生贄となる運命にあった」/夢想家、または「永遠のコキュ」/不吉な道化たち/神がかりと分身/破壊者たち/父殺し、または「平安だけがあらゆる偉大な力の…」
著者を「カラマーゾフの兄弟」の訳者としては知っていた。「黒い言葉」とあるが、ロシアにとって「白」は雪または氷に覆われた色で、「黒」は春になって雪解けによって現れる豊かな土壌の色らしい。ドストエフスキーの作品や手記、またドストエフスキー研究者たちによる言葉を織り込んで、ドストエフスキー並びに帝政末期のロシアについて語る。これが異様におもしろい。「神がなければ、すべては許される」の章がとりわけおもしろかった。文学作品についてもその作品が生まれた背景、その時代の空気を知っていた方が断然面白く読めるんだなぁと痛感。昔読んだはずだがすっかり忘れている「カラマーゾフの兄弟」、積読になったままの「罪と罰」、読んでみようかなと思った。
■ ドストエフスキー 黒い言葉(集英社新書)[亀山 郁夫]
■ ドストエフスキー 黒い言葉(ドストエフスキー 黒い言葉)[亀山郁夫]【電子書籍】