キエフの大きな門

昨日に続いて今日もラベルの話題で。(ラフはクラシックではフランス近代音楽が結構好き)

組曲「展覧会の絵」という作品があります。原曲はロシアの作曲家ムソルグスキーが作曲したピアノ独奏のための組曲ですが、それをオーケストラに編曲したのがフランス人のラベル。ちなみにオーケストラに編曲した人はラベルのほかにもいますが、ラベルの編曲が一番有名。オーケストラに編曲するに際して組曲中何度か登場する間奏曲的役割の「プロムナード」がいくつか省かれたりしていますが、もともとラベルは自身のピアノ曲をオーケストラ編曲する際も、オーケストラで効果的になるようにとこういうことをやっている例が多々あります。

wikipediaの「展覧会の絵」の項

さて、この組曲「展覧会の絵」の最後を飾るのは「キエフの大きな門」という曲です。素朴で堂々とした曲で締めくくるのです。ちなみにこの曲のピアノ楽譜は結構白いです(細かい動きの音符が少ない)。

一方で、ラベルが編曲した組曲「展覧会の絵」の「キエフの大きな門」はこんな感じ。エンディングはラベルの異名「オーケストラの魔術師」にふさわしいやりすぎ感あふれるまでの豪華絢爛きらびやかなものになっています。ロシアの雰囲気、原曲や作曲者の意図もあるだろうけれども、オーケストラでやるならオーケストラの良さを活かさなきゃっていうラベルの意気込みを感じずにはいられません。まさに換骨奪胎の極みともいえる新たな作品。

ちなみに、ピアノ原曲の作曲者であるムソルグスキーが展覧会で見たといわれる「キエフの大きな門」の絵はこちら。
Hartmann -- Plan for a City Gate
ヴィクトル・ハルトマン / Public domain

ピアノの原曲でさえ多少大げさかなと思われるくらいの、立派ではあるけれども素朴な門という印象をラフは受けた。それに比べると、ラベル編曲による「キエフの大きな門」は、ド派手にライトアップされた威風堂々としたパリの凱旋門を思い浮かべてしまうのであった……(それが悪いと言っているわけではない)。

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