この新書はすこぶる面白い。中国、隋の時代に始まり清朝末まで実施された有名な官吏登用試験「科挙」のエピソードを楽しめる。もっとも複雑化した清朝末の科挙を例に受検案内のような説明がある。どんな勉強をする必要があるか、受験資格は、試験は何年おき、どこで実施されるか、当日のスケジュールは、どんな問題が出るのか、解答用紙ならびに解答の仕方は、採点は誰がどのように行うのか、合格発表の方法は?こういったことが悲喜こもごものエピソードとともに紹介される。科挙を受験するために必要な資格を得るための学校の試験、そして実際の科挙試験があるわけだけれども、とにかくハードな試験なので当然のように不正が横行する。人生のかかった命がけの試験だけに受験者の不正、試験官の不正も相当なもの。それを防ぐためにどのような対策がなされたのか。そして実際的な中国人の思想が生んだ科挙の位置づけの落とし所とは?科挙のメリット・デメリットの考察まで。この本、1963年の出版なんだけれども、面白さはとっても現代的だ。
こちらの記事もぜひ!!
- 読了:残酷な進化論(NHK出版新書 604)[更科 功] (2023年11月14日)
- 読了:物語イスラエルの歴史 アブラハムから中東戦争まで (中公新書) [ 高橋正男 ] (2019年3月24日)
- 読了:日本人の英語 (岩波新書) [ マーク・ピーターセン ] (2019年1月2日)
- 読了:教養としての「ローマ史」の読み方 [ 本村凌二 ] (2018年6月20日)
- 読了:皇帝フリードリッヒ二世の生涯【電子書籍】[ 塩野七生 ] (2018年12月17日)