読了:皇帝フリードリッヒ二世の生涯【電子書籍】[ 塩野七生 ]



塩野はその著書「ルネサンスとは何であったのか」において、ルネサンスの先駆けは聖フランチェスコとフリードリッヒ2世だと述べている。なぜ神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世がルネサンスの先駆けと考えられるのか、本書ではフリードリッヒ2世の生涯を描く。キリスト教が絶大な力を持った中世半ば、ローマ法王インノケンティウス3世は「法王は太陽、皇帝は月」と主張するのに対して、フリードリッヒ2世はキリストの言葉「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に」(カエサルとは皇帝のこと)に帰って政教分離を目指しローマ法王と対立した。フリードリッヒ2世がそのような考えを持った背景、どのような統治を目指してどのような施策を行ったのか、そして死後に彼の属すホーウェンシュタイン家は没落したが、確実にルネサンスへの向かう様子が描かれる(ルネサンスが大輪の花を咲かせるのはこの約200年後)。ローマ教皇庁が中世の代名詞ともいえる異端裁判所を開設したのもフリードリッヒ2世に対抗してのものというのが非常に面白い。中世のど真ん中、十字軍時代、ルネサンスに向かう動きが芽生えたときに、悪名高き異端裁判所も開設されたのだ。

皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)【電子書籍】[ 塩野七生 ]
皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)【電子書籍】[ 塩野七生 ]

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