読了:楽園のカンヴァス(新潮文庫 新潮文庫)[原田 マハ]

楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス

  • 作者:原田 マハ
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2014年06月27日頃

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとはー。山本周五郎賞受賞作。

山田五郎のYoutubeで紹介されていた本。こんなおもしろい作品があるんだと一気読み。

スイスの謎の富豪コレクターが所有しているある作品の真贋鑑定を依頼された二人の若いルソー研究者。作品はルソーの最高傑作「夢」とそっくりな「夢をみた」と題された絵画。画題と同じ「夢をみた」と題された謎の物語を1日1章ずつ読んで1週間後にそれぞれ作品の真贋を評価することを果たされる。

wikipediaの「夢 (アンリ・ルソーの絵)」の項

絵画ミステリーとして良くできている。美術業界の裏話とかも分かりやすく取り入れられていておもしろい。また劇中物語の「夢をみた」はルソーの晩年の物語になっているのだが、これがなかなかいい。最後に向けて泣かせる。絵画の方の「夢をみた」の秘密と真贋鑑定評価はおどろきのもので、関係者のルソーへの情熱と思い入れも読んでいて共感できる。でも、人間関係の種明かしと落としどころはちょっと予定調和的できれいに収まり過ぎな気がした。

アンリ・ルソーに関してあまり知らなくても楽しめると思うが、知っているとずっとずっと面白いかと。またルソーに限らずピカソをはじめ実在の有名絵画も何枚か出てくるのでそれらの絵もどんな絵か知っているとなお面白いかと。

楽園のカンヴァス(新潮文庫 新潮文庫)[原田 マハ]
楽園のカンヴァス(新潮文庫)[原田マハ]【電子書籍】




読了:PK 新装版(講談社文庫)[伊坂 幸太郎]

PK 新装版

PK 新装版

  • 作者:伊坂 幸太郎
  • 出版社:講談社
  • 発売日: 2023年03月15日

人には時折、勇気を試される瞬間が訪れる。落下する子供を間一髪で抱きとめた男。救出劇に歓喜した少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。「臆病は伝染する。そして、勇気も」小さな決断が未来を変えるきっかけとなる。読了後、新たな世界が浮かびあがるこだわりとたくらみとに満ちた三中篇。「PK」「超人」「密使」からなる“未来三部作”。

三つの独立した話「PK」「超人」「密使」。それぞれにそこそこの結末もついている。それぞれの話の中には、並行して語られるさらにいくつかの物語がある。3つの話はそれぞれ独立して成立していながら、そこで語られているエピソードでちょっとずつ世界がつながっている。各話の時間的関係が分かりにくい仕掛けになっているため、ちょっと頭を使う。そうはいってもさすが伊坂幸太郎、次に何が起きるのかが気になってしまいノンストップで一気読みしてしまった。

PK 新装版(講談社文庫)[伊坂 幸太郎]
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