ツェルニー練習曲集

ベートーヴェンの弟子にツェルにーという人がいました。ピアノ弾きにはおなじみですよね?しかもどちらかというと嫌な方面で。膨大な数の単調な練習曲を量産した作曲家で、ピアノ弾きは「30の練習曲」「40の練習曲」「50の練習曲」「60の練習曲」と進めていく練習曲。彼の練習曲は前述のみだけでなく、とにかく大量の練習曲が残っています。練習曲以外の作品も少ないながらあるんですが、いかんせんあまり楽しいものではない。ツェルニーの練習曲って楽譜を見ただけでもううんざりするような曲が多く、だいたいつまらないということになってます。ところが後期の練習曲になってくるとロマン派に入ってくるので妙に情緒的な和声進行だったり華麗だったりする練習曲も出てきて、弾けるとめちゃくちゃ楽しいものがある(内容はあいかわらずたいしたことないですが)。興味のある方は「60の練習曲」あたりを聞いてみる、あるいは弾いてみてください。演奏会に出しても十分通じるような魅力的な曲があることにびっくりするかもしれません。あたかもリストのような、というか、そもそもリストはツェルニーの弟子だったな。

ツェルニー練習曲をやっていて絶対これは無理だと思うのがメトロノームのテンポ指定。とにかくめちゃくちゃ速い。指定どおりに弾くのはもはや練習曲の域も超えてしまっている至難の技。もし弾けたとしても曲芸レベルである。ツェルニーのテンポ指定が今のメトロノームとは違うもので記述されたのかと思うくらいだ。しかし、今日使われているメトロノーム(いわゆる1分間あたりの刻み数を基準とするメルツェルのメトロノーム)はベートーヴェンの時代に登場し、彼によって音楽のテンポ指定として使われるようになったものである。弟子であるツェルニーも当然メルツェルのメトロノームのはずだ。自分のピアノの師匠はそういうわけで、レッスンにおいてツェルニー練習曲に関しては指定されたテンポの2/3で弾ければテンポに関してはとりあえずOKという具合だった。

とりあえず、今日覚えてみてもいい知識は、古典派からロマン派にかけて

ベートーェン – ツェルニー – リスト

という系譜があるということかな。

ロマン派の音楽はいつから始まったのか?
古典派とロマン派の境界はどこかということだけれども、そもそもが音楽を歴史的作風で分類するのにはっきりとした境目があるわけではなく恣意的なものですよね。もし、古典派とロマン派の境にかかわる話をする場合は、どう定義したかを話者同士が了解しなければなりません。というわけで、上記記事にリンクをはっておきますが、ラフは特に断らない限り、この記事中の(B)を基準とする、つまりベートーヴェン後期からロマン派へ移行が大きな流れとなったと考えています。

こちらの記事もぜひ!!