管楽器奏者にとっての一種の夢としての循環呼吸

管楽器は基本的に口から息を吐くことで音を鳴らすわけだ。ということは、長い音符やフレーズで息が足りないという事象に遭遇することがある(ラフの場合はわりと高頻度で遭遇している)。どこかで息を吸わなきゃいけないんだけれども(ブレスという)、どこでブレスを取るかが結構シビアなことがあったりする。

そこで、管楽器奏者の一種の憧れとして、循環呼吸というものがある。鼻から息を吸いながら同時に口から息を吐き続けるという技だ。そうなのだ、これさえマスターすればブレスをとらなくてもいい!!どんなに長い音符でもどんなに長いフレーズでもブレスすることなく吹き続けられる。

この循環呼吸というものが果たして実際にできるものなのかというと、小数ながらプロ・アマ含めてできる人がいるらしいのだ。もちろんラフは循環呼吸なんてものはできないし、できる人に直接会ったこともない。「○○さんは循環呼吸ができるらしい」とかいう噂を聞く程度なので、ひょっとしたら都市伝説なのかもしれない。そうは言っても、循環呼吸は管楽器奏者が一度は夢想する憧れの技術なのだ。

ところで、この循環呼吸、鼻から息を吸って口から吐き続けるというものであるが、フィジカルにポンプの役目をするものがなければそんな現象が自然に起きるわけがないのは自明だ。おそらくその器官は肺であろう。つまり鼻から吸った息をいったん肺に入れて、それをそのまま口から吐く。そもそも人体の仕組みとして呼吸の必要性としていったん肺を介さない限り血液への酸素供給ができない。肺を介さない循環呼吸であるとしたら結局は酸素供給不足で窒息してしまうことになる。そうなると、やはり肺を介することになるのだが、気道においては方向が違う「吸う息」と「吐く息」が同時に流れていることになる。そういうことは可能なのだろうか?循環呼吸というのは現実として本当にできるのであろうか。

そもそも、現実にはブレスでザッツ(出だし)をそろえるとか、あえてブレスを有効活用している場合もあるので、循環呼吸(なる夢)にそこまであこがれる必要はないのではないか。循環呼吸ができなくても優れた奏者というものはいるんだから。

余談だが、オーボエ奏者の友人が言うところによると「オーボエは息を吐ききらないと息がすえないから苦しい」という。

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