潜性遺伝子が発現する妙

 オリジナルのソースに当たっていないんだけれども、遺伝学会が「優性(dominant)」「劣性(recessive)」を「顕性」「潜性」に変更することを宣言したとか。確かに「優性」「劣性」と言う日本語では、遺伝子発現したものが生存にとって優れているとか劣っているとか誤解している人も多そうだ。そもそも生存にとって優れているか劣っているかなんて、環境が変わればどっちが有利とか不利とか逆になる場合もあるんだけれどもね。

 遺伝子の「優性」「劣性」とは2つの対立遺伝子が「優性」「劣性」で存在した場合、表現型として現れるか現れないかのタームである。高校生物を思い出してもらえばわかると思うんだけれども、遺伝子型が優性遺伝子のみの場合(AA)であれば表現型はA、優性遺伝子と劣性遺伝子の場合(Aa)であれば表現型はA(これが「優性」「劣性」と遺伝子を表現する根拠)、劣性遺伝子のみの場合(aa)であれば表現型はa。

 「顕」「潜」は、対立する遺伝子が存在する場合に「現れる」「現れない」という現象の表現なので誤解は減るかと思われるけれども、1点だけ。対立遺伝子が「潜性」遺伝子のみの場合(aa)、「潜性」遺伝子に基づくものが発現するよね。発現する場合があるのに「潜性」とはこれいかに。ま、これは屁理屈ですけれどもね(遺伝子型と表現型をはっきり区別して認識していれば問題にはならない)。

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