読了:遺伝子ー親密なる人類史ー 【電子書籍】[ シッダールタ ムカジー ]



 全編にわたり何度か登場する著者の家族のエピソードが、実は身近な遺伝子という思いを強くする。

 上巻は、19世紀後半ダーウィンの進化論とメンデルの実験から始まって、現在の遺伝子組み換え技術に至る、遺伝子の正体を明らかにしていく生物史。高校生物~大学教養生物で習う内容だけれどもエキサイティングな読み物としてとてもまとまっていて非常に面白い。上巻だけでも読む価値十分にあり。

 下巻は人類遺伝学(ヒトゲノムプロジェクト、遺伝子治療、遺伝子診断)の話題。実際の例をいくつか、どんな患者がどんな経緯でどんな治療を受けて、それにかかわる科学者や医者がどうなったか臨場感あふれる筆致で具体的に描かれていて、すごく面白い。遺伝子組み換えからゲノム編集に向かう中で科学的側面だけでなく、倫理面を含めた社会的側面も無視できなくなってくる現状と未来。

 日本語訳はとても正確でそのうえ丁寧で好感が持てるが、まれに??な訳(語彙レベル)あり。

遺伝子ー親密なる人類史ー 上【電子書籍】[ シッダールタ ムカジー ]
遺伝子ー親密なる人類史ー 下【電子書籍】[ シッダールタ ムカジー ]

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