ヒトゲノム計画とか一時期流行っていたけれども、じゃ今結局何がどうなったの?ってところをヒト遺伝学を中心に述べたサイエンス啓蒙書。DNAに書かれている情報が全部わかったからと言って、克服された病はまだ一つもないという事実とか、犯罪者遺伝子が判ったとかいう荒唐無稽なことはありえないとか、ゲノム計画で神が意図したもうた計画をお手軽にくみ取れるようになったはずなんて思っていた人には残念な報告かもね。じゃゲノム計画は無駄だったのかというと、全然そんなことはない。分かったことだっていっぱいあって世間に還元されているんだよ。作者がイギリス人ということもあってヨーロッパの話題がダントツに多いのはご愛敬。ポストゲノム時代において適切なサイエンスリテラシーを身に着ける必要があるという警鐘が一番ためになったかも。また脚注が作者の人柄を反映していてすごく面白い。とくにスパイダーマンの下りはニヤッとした。
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