過酷な冬を越すために人間が冬眠する世界での物語。
ふとした偶然からチャーリーは冬季取締官に志願する。
冬季取締官は眠らずに盗賊(ヴィラン)や冬の魔物(ウィンターフォルク)に対処する過酷な仕事だ。
無事取締官になったチャーリーは、冬眠に失敗しナイトウォーカーになった女性を別の地区まで送り届けることに。
ナイトウォーカーは普段はおとなしいが、
空腹になるとひとを襲うちょっぴり危険な存在だ。
途中で思わぬ事件に巻き込まれながらも、ようやく〈セクター12〉にたどり着いたチャーリーは、
夢の中の夏の楽園(サマートピア)で、美しいベルギッタと出逢うことになるのだった。
二度と還らぬあの夏の砂浜で。
なんだかふわっとした、まさに夢の中のようなファンタジー。舞台は過酷な冬の世界なんだけれども、複雑な人間関係や陰謀論、睡眠や夢にまつわる謎や推理、伝説といったものがてんこ盛り。それなのになんだかのほほ~んとした優しい感じのジュブナイル的な読み物。緊迫したシーンもあることはあって面白くはあるけれども、さらっと流される書きっぷりのためかドラマチックさは今一つ。主人公も何となくの常識的な正義感に従っているって感じで、確固たる意志で生きているという雰囲気ではない。上巻はとにかく世界観と登場人物を把握するためで若干退屈。下巻も後半になってようやく何が問題なのかが分かってくる。そんでもってバンバン身近な死人が出てたのに、おとぎ話的なハッピーエンド。
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