ミステリー作家加納朋子のノンフィクション。急性白血病にかかった自身の入院治療体験をつづる。レアな体験を記録せずにはいられない物書きの性。絶望的な体験、苦しい闘病生活の中で、何が大切か、何をしなければいけないか、具体的にわかりやすく書かれているのでおもしろい(不謹慎か?)。がん治療ってこういうものなんだ、無菌室ってこういうところなんだと、知ることができる。また、家族友人、病院スタッフ、医療技術の進歩、多くのものに支えられていることへの感謝をつづる加納の視点は、彼女の日常ミステリーと同じくユーモアも交えつつ暖かい。できるだけ多くの方が希望を持って治療に臨めるようにというメッセージが込められている。
■ 無菌病棟より愛をこめて (文春文庫) [ 加納 朋子 ]
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