読了:イニシエーション・ラブ(文春文庫)[乾 くるみ]

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説ーと思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

目次は次の通り(カセットテープに懐かしの歌謡曲という体裁か)。
side-A

  1. 揺れるまなざし
  2. 君は1000%
  3. YES-NO
  4. Lucky Chanceをもう一度
  5. 愛のメモリー
  6. 君だけに

side-B

  1. 木綿のハンカチーフ
  2. DANCE
  3. 夏をあきらめて
  4. 心の色
  5. ルビーの指輪
  6. SHOW ME

side-Aを、なんだか伸び切ったパンツのゴムのような80年代バブル臭に満ちた若者風俗小説だなぁと思ってダラダラと読んでいたんだけれども、side-Bに入ると「あれ?ちょっと設定が微妙に変わった?パラレルワールド?」とか思いながらも「まぁいいか」と気にせず読み進めていく。しかし最後に向かって、ん?ん?とちょこっとずつ疑問が大きくなっていく。そしてラストのセリフで募ってきた違和感の理由が明らかになる。おぉ、そういう仕掛けだったのかと。すぐさまside-Aをもう一度読み直したよ。ミステリー小説だとは思わずに読んでいたから、ガツンとやられました。一番怖いのはお前だったか……。

イニシエーション・ラブ(文春文庫)[乾 くるみ]
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