「~してあげる」

本日受講のセミナーにて、システムの操作説明をする講師が、「~してあげてください」「~してあげると」を連発。身の毛がよだつほど気持ち悪いことこの上なかった。

例:「このボタンをクリックしてあげてください」

なんにでも「~してあげる」というのは、いい大人が使う言葉ではないと思うのだが、それは俺が古い人間だからなのか?

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ラフの感覚を述べると、まず単純な動詞としての「やる」と「あげる」の違いについては、「あげる」というのは人以外や物に対しては使わない。「花に水をやる」だし「犬に餌をやる」だ。小さな子どもに話すときに「花に水をあげる」とか「犬にえさをあげる」という対象を擬人化した場合の表現はまぁ許容範囲ではあるが、大人が大人に話す場合には「花に水をあげる」とは言わない。大人に「あげる」を使うと、相手を子ども扱いしている感じがする。

動作に付して丁寧な表現とするような「~してあげる」は、まだ世間的に認められた使い方とは思えない。「~してあげる」という表現は、人に対して使うと、上から目線と感じる人も多いようだ。「わざわざ、あなたのために」という言外の意味が加わる感じがあるからなのであろう。おそらくは、相手を下に見ている、つまり子ども扱いしているからなのではなかろうかと推測される。「~してあげる」に遭遇すると、丁寧というより過剰すぎて慇懃無礼な印象だし、また話者が自身の無知をさらしているようにも思え(知性を疑う)、聞いているこっちのほうが身もだえしたくなるほどにこっぱずかしくなる。赤ちゃん言葉で話しかけられている気がして、相当恥ずかしいのだ。すくなくともビジネスの場では「~してあげる」は使わないほうが良い表現だろう。

おそらく「~してあげる」という言葉を使う人は、自身は丁寧な言葉遣いをしているだけで、奇妙に感じる人がいるとはつゆとも思っていないのであろうなぁ。

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