
生存報告会 〜 ひき肉と小松菜とナスのアンチョビパスタ

人には時折、勇気を試される瞬間が訪れる。落下する子供を間一髪で抱きとめた男。救出劇に歓喜した少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。「臆病は伝染する。そして、勇気も」小さな決断が未来を変えるきっかけとなる。読了後、新たな世界が浮かびあがるこだわりとたくらみとに満ちた三中篇。「PK」「超人」「密使」からなる“未来三部作”。
三つの独立した話「PK」「超人」「密使」。それぞれにそこそこの結末もついている。それぞれの話の中には、並行して語られるさらにいくつかの物語がある。3つの話はそれぞれ独立して成立していながら、そこで語られているエピソードでちょっとずつ世界がつながっている。各話の時間的関係が分かりにくい仕掛けになっているため、ちょっと頭を使う。そうはいってもさすが伊坂幸太郎、次に何が起きるのかが気になってしまいノンストップで一気読みしてしまった。
心臓病・腰痛・難産になるようヒトは進化した!最新の研究が明らかにする、人体進化の不都合な真実ー「人体」をテーマに進化の本質を描く知的エンターテインメント。
なぜ私たちは生きているのか/第1部 ヒトは進化の頂点ではない(心臓病になるように進化した/鳥類や恐竜の肺にはかなわない/腎臓・尿と「存在の偉大な連鎖」/ヒトと腸内細菌の微妙な関係/いまも胃腸は進化している/ヒトの眼はどれくらい「設計ミス」か)/第2部 人類はいかにヒトになったか(腰痛は人類の宿命だけれど/ヒトはチンパンジーより「原始的」か/自然淘汰と直立二足歩行/人類が難産になった理由とは/生存闘争か、絶滅か/一夫一妻制は絶対ではない)/なぜ私たちは死ぬのか
生物学者が具体的な例を挙げて「生物進化」ってこう考えるものだよと説明しているエッセイ本。生物学にちょっとでも携わったことのある人には新奇なトピックはないけれども、生物進化について世間の人たちはきっと誤解しているだろうなぁという話題が多くとりあげられている。世間一般の生物学入門者に対する啓蒙書でもあるので、内容的には高校生物の知識程度でも理解できるように平易に説明されている。平易に説明しようとしたがために、かえって舌足らずになっていたり論理のちょっとした飛躍が気になる部分もあるんだけれども。
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■ 残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか(NHK出版新書)[更科功]【電子書籍】
首都圏ビッグデータ保安システム特別法が施行され、凶悪犯罪は激減ーにもかかわらず、親の借金で臓器を売られる瀬戸際だった人工知能技術者の三ノ瀬。彼は人工知能の心を読み、認識を欺く技術ーAdversarial Example-をフリーランス犯罪者の五嶋に見込まれ、自動運転現金輸送車の強奪に乗り出すが…。第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。人生逆転&一攫千金!ギークなふたりのサイバー・ギャングSF。
軽妙洒脱な近未来クライム小説。ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作ということでいわゆるSF新人賞作品。AI技術を軸にした大金強奪シーソーゲームのエンタメ性は抜群。でもこれってSF?
SFといえば笑っちゃうくらい途方もない科学技術や人知を超えた宇宙理論とかを、読者にそれらしく納得させるような技法を用いた作品だと思うわけ。でも、この作品はそうではない。AI技術でそういうことを目指すならシンギュラリティなんだろうけれども、この作品は最後の部分でも語られるんだけれども、訳の分からないシンギュラリティよりも、人が理解できるAIアルゴリズムを採っちゃうんだよな。つまりSF小説というより、現実的技術小説。近未来とはいえ犯罪に使われるAI技術やそれをかわす方法や理論が現在論考されているAI技術なわけですよ。つまりその理論や技術は現在巷で議論されているAI技術の範囲や問題点を逸脱することがない。だからこそこの作品がわかりやすくて読みやすいという点はあるんだけれども、SFではないよな。
あと、脇役登場人物が多い割には整理しきれていない感じがした。めぞん一刻みたいに数字にちなんだ人名の主要登場人物をそろえることにこだわり過ぎたかも。でも、エンタメ系クライム小説としては面白かったよ。
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