“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。
古典SFを読もうシリーズ第5弾。全体主義近未来社会を描いたディストピア小説。悪の親玉的存在は実在としては出てこない(「ビッグ・ブラザーはあなたを見ている」というポスターの肖像のみ)。誰かひとりが権力を保持するのではなく、一部の階層が永遠に支配を続けるために構築されたシステムとしての全体主義社会。この欺瞞に満ちた仕組みがいろいろ凝っている。そして物語が終わった後に出てくる附録もおもしろい仕掛けになっている。言葉によって人は思考も支配されるのだ。
■ 一九八四年新訳版(ハヤカワepi文庫)[ジョージ・オーウェル/高橋和久]
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