
生存報告会 〜 豚肉と白菜のクリームパスタ



数字の店名のコンビニでしばしば店頭コーヒーを買うんだけれども、いつも「ホットコーヒー」のサイズ「レギュラー」をレジ前で言い淀んでしまう。コーヒーってさぁ「レギュラーコーヒー」っていうのもあるじゃない?「インスタント」の対になるというか、カテゴリーとしての「レギュラー」。だからレジで頼むときになってコーヒーが「レギュラー」なのかサイズが「レギュラー」なのか「どっちだっけ????」ってなるときがある。いっそ「レギュラーコーヒーのレギュラーください」でいいかね。いや通じるとは思うんだけれどもさ。
サイズLMSはそれはそれでまた面倒くさくって。割とよく行くコーヒーチェーン店のサイズは「L」「M」なのだよ。口頭でのサイズ指定が「エル」なのか「エム」なのか店員に通じにくいときがしばしばあって(ラフの活舌の悪さはともかく)、いつも「エルで。えぇ大きいサイズの方で」とか「エム、普通サイズの」とか言葉を足している。それはそれで面倒くさい。
最近はすっかり大衆化した若干意識高い系風チェーン系コーヒーショップの場合は「short」とか「tall」とかだよね。その昔一番巨大な「ベンティ」を頼もうとしたんだけれども「ベンティ」なんてめったに頼まないからさぁ、とっさに出てこないの。で「そういえば、Vから始まる単語だったなぁ」と思い出して「ヴェイキャントください」と口走ったことがある。お前は空のコーヒーが欲しいのか?カップだけが欲しいのか?でも、店員さんは優しかった。「ヴェンティですね」とほほ笑んでくれた。ありがとうその時の店員さん。
あ、そういえば、数年前ハノイに行ったとき、このとにかくやたらとコーヒーショップの多いヴェトナムの首都で、一人でコーヒーショップに入ったのよ。安心安全の外国人にも優しいというヴェトナムで大規模展開している有名コーヒーショップチェーンを選んだものの、英語さえままならないラフは、「this, this, please!!」と言いながらメニューを指さして注文したよ。

昨日の日曜日の晩、キッチンの電気をつけようとしたがつかなかった。どうやら電球が切れたようだ。雨降りの夜なので買いに行くのはあきらめた。暗い日曜日だ。
明けて月曜日、近所のスーパーで電球を買ってきて交換。「光あれ」とスイッチを入れた。すると光があった。その光を見て、良しとした。



顔よし、体よし、性格よし。そのうえ読書家。なんだか現実味のないイケメン、熊本くん。仲の良い大学生・みのりは、同級生から彼の噂を聞く。どうやら熊本くんが、ゲイ向けアダルトビデオに出ているというのだ。熊本くんの部屋で二人、彼が作った甘口のカレーを食べながら、みのりは同級生の言葉を思い出す。帰りの駅のベンチで、少し後ろめたさを感じながらも「熊本祥介」と、スマホで検索を続けるがー。ゲイの熊本くんの、汚くて繊細な青春物語。第4回カクヨムコン大賞受賞の問題作が待望の文庫化。
デビュー作であるとはいえ、素人臭が濃厚に漂っていた。タイトル(とりわけ副題いる?)や書籍紹介文から想定していたものとは全然違う、不思議な小説だった。
ミステリーでもありオカルトでもありファンタジーでもありライトポルノでもあり、描かれるのも宗教でもあり家族でもあり青春でもあり……。なんでもありのてんこ盛り小説。作中設定がパズルのピースをきちんとはめるためか、出てくるものを都合よく関連付けておきましたって感じ。内容も論点はちょっと重いんだけれども、深みは全く足りていない。登場人物の属性が強烈な設定であるにもかかわらず、ちょこっとずつしかスポットライトを当てられていないので、人物像の奥行が今一つ(自殺者を含め何人か死んでいるのに……)
構成のアイデアとして真ん中を「熊本くん」が書いた小説にするという考えは悪くはないんだけれども、小説ではないはずの前後の章との差が際立っていないため、結果としてあまり効果的になっていない。「熊本くん」がなぜこの小説を書いたのか、書かずにいられなかったのか、そこのところの訴求も不足。
とまぁ散々けなしておきながら、それでもこの読み物はエンターテイメントとしては面白い。実際に飽くことなく一気読みしてしまったわけだから。
■ 熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス(富士見L文庫)[キタハラ/慧子]
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20世紀に入り、怪物「がん」と闘うには「治療」という攻撃だけでなく、「予防」という防御が必要であることがわかる。かくて、がんを引き起こす最大の犯人として、たばこが指名手配されたが…人類と「がん」との40世紀にわたる闘いの歴史を壮絶に描き出す!ピュリッツァー賞、ガーディアン賞、受賞作。
第4部 予防こそ最善の治療(「まっくろな棺」/皇帝のナイロンストッキング/「夜盗」 ほか)/第5部 「われわれ自身のゆがんだバージョン」(「単一の原因」/ウイルスの明かりの下で/「サーク狩り」 ほか)/第6部 長い努力の成果(「何一つ、無駄な努力はなかった」/古いがんの新しい薬/紐の都市 ほか)
上巻の感想はこちら
下巻は「がん」の「予防」から。肺がんとたばこの関係は法廷ドラマのように描かれる。続いて「がん」の発生メカニズムへの挑戦が描かれる。ゲノムプロジェクトの進行とともに各地の研究者が「がん」遺伝子とその治療法を探求する競争。今となっては古典ともいえるストラテジーも当時は試行錯誤の末にたどり着いたものであったのだ。個人的にはこの章が一番おもしろかった。刊行された当時のゲノムプロジェクトあたりで話が終わってしまっているのが、仕方ないとはいえ残念。
これに続く「遺伝子ー親密なる人類史ー」にしろ、シッダールタ・ムカジーの物語を紡ぎだす才はすばらしい。この人、文筆家やジャーナリストではなく、臨床腫瘍科医なんだよ。
■ 病の皇帝「がん」に挑む(下)[シッダールタ・ムカジー/田中文]
■ 病の皇帝「がん」に挑む 人類4000年の苦闘(下)[シッダールタ ムカジー]【電子書籍】