前広って誰やねん!!

この日記もどきを定期的に見に来てくれている人はごく限られたほぼ身内の数名なんだけれども、ネット検索結果から訪問してくださる方もまれにいらっしゃいます。ネット検索からは「ご如才なきことながら」という言葉を調べていていらっしゃる方が多いようです。

ご如才なきことながら、仕事納めさせていただきます

すみません、当サイトは言葉の定義や成り立ちを説明する学術サイトではなく、「ただ日常でこういうことがあったよ」という日常報告サイトなので、検索結果からお越しいただいた方のお役には立てていないかと思います。

さて本日は、その「ご如才なきことながら」メールをいただいた彼と、仕事の打ち合わせでチャットをしていたのですが(ラフは相変わらず在宅勤務が続いております)、締めに「間に合わなければ前広にお伝えします。」と書かれていたのです。言葉を知らないラフは「前広さん?誰それ?」とか思った次第です。

「前広」の使い方や意味、例文や類義語を徹底解説! | 「言葉の手帳」様々なジャンルの言葉や用語の意味や使い方、類義語や例文まで徹底解説します。

辞書を引いて(ネットだけど)意味を知ったわけだけれども、「『前広に』なんて使わねぇよ」と一人毒づいてみたり。普段の直接の会話ではごく普通の言葉しか使わないのに、書き言葉になると(チャットでさえ)途端に固くて日常では見かけない官僚系婉曲語彙を駆使してくる彼には一目置いてみたいものです(置くとは言わない)。中途半端なカタカナ語ビジネス用語を濫用されるよりかはこっちの方が個人的には好きだけれどもさ。自分が言うのもなんだけれども、彼はかなりの変態日本語遣いなのだという考えを新たにした昨今なのでありました。

僕はやっぱり英語ができない – 「英語圏の人は日本人のラフには想像もつかないような突拍子もない行動をとることもあるに違いない」

いやね、分かってはいるんですよ。ラフが英語を苦手としているのは、英語に触れている時間と経験が圧倒的に足りていないからなんだってことは。それでもやらないよりはましとちょっとずつでも勉強を続けているわけですよ。

さて、今日のリスニング例文では、オフィスの引っ越しをしたらしいんだけれども大切な書類の入った箱が見つからなくて同僚に聞いたら「見かけてない」との話。で、その同僚が次のように続けたわけさ。

Maybe you should call the moving company and have them check their truck.

「and」がろくに聞き取れていないので、「ウニョウニョウニョウニョ~」とどこで切れるのかわからない英文が流れる間「何をおっしゃっているのかしら?」と耐えているだけのラフ。短文なら聞き取れることが多い「call」も「コゥ?cow?牛?」とか思っていたりする。shouldの後に来るのは動詞の原形と知識ではわかっていても、ラフの頭の中ではすでに「牛をすべきってどういうこと?」とか考えだしている。日本人のラフには理解が及ばないだけで、英語圏の人はなんか知らんけどきっと「牛をする」ってことがあるんだろう。「へい彼女、ちょっと俺と牛しない?」とか。「the moving comapny?(ハウルの)動く会社?」。そのあとに続いている「and」より後の「ウニョウニョ」は次の単語の羅列「half then check there track」だった(音がそれっぽく拾えているところは前よりも進歩か?)。文法的にまったく文章になっていないのでさらに混乱を極めたことは言うまでもない。これがラフのリスニング能力の現状だ(文法力を実際の英文で生かしておそらくこうだったのでは?と捉え直すなんてことはまったくできていない)。

一方、リーディングの例文では、職の応募要項で次のような項目があったわけさ。

You should also include the contact details of a representative at each of your last three employers who can attest to your suitability for this work.

海外(主にアメリカ)ドラマとか映画で、転職の際には前雇用者の紹介状が必要だったり、人事担当者が応募者の前職場への人物照会とかやっているのをよく見かけるけれども、あれのためねと結びついたのは後からである。最初はいい加減に単語の羅列として読んでいたので(というか眺めていただけ<ちゃんと読め)、「contact」を「contract」と見間違え、さらに「attest」を「arrest」と見間違えた。その結果ラフの頭の中には「応募者を拘束する過去の雇用者との契約?拘束というのはお縄になった?縄で縛るとか?SMプレイ(性風俗)か?その詳細な雇用契約書が必要?悪趣味な雇用募集広告だなぁ」と突拍子もないことを考えていたのだ。最初っから文構造を押さえて意味を取ることを放棄して、単語(しかも見間違えている)の羅列でイメージを作っているのだ。

間違った解釈で間違ったイメージを抱いても、「英語圏の人は日本人のラフには想像もつかないような突拍子もない行動をとることもあるに違いない。まぁ文化の違いってやつだよね。」と勝手に対処してしまうことが多いのだ。でも同じ人間なんだしそんな奇天烈なことはそうそうありえないということを平気で忘れている。ましてや簡単な日常ビジネスコミュニケーションの話なんだから。

読了:ラッシュライフ(新潮文庫 新潮文庫)[伊坂 幸太郎]

ラッシュライフ

ラッシュライフ

  • 作者:伊坂 幸太郎
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2005年05月

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場ー。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

 エンターテイメント小説としては今は池井戸潤のほうが人気あるのかな。でも、ラフはビジネスエンターテイメント小説にはどうも食指が動かない。読めばきっと面白いんだろうけれども。また百田尚樹のビジネス英雄譚みたいな伝記っぽいものもあまり好まない。そうなのだ、ビジネスというものに根本的に興味がないのだ。

 なので、若干ファンタジー色が強いものの一般の市井人が主役で日常を苦悩しながらも生きていく、そしてちょっとした事件に巻き込まれて奇想天外な展開をしていくが、人生を生きることに絶望しない伊坂幸太郎の小説は好きなのだ。伊坂幸太郎が仙台在住なので仙台を舞台にした作品も多く、本作も主に仙台市街で話が展開される(仙台駅や市街の通り名やアーケードのある商店街の位置関係などを知っていると面白く読めるかも。ドラマなんかでこのシーンは東京のあそこだ!とかわかるとうれしいみたいな感じ?)。

 並走する4つの物語と書いてあるけれども、ちょっと弱めのもう1つのグループがあって全体で5つの話が並行して進んでいく。駅前に新たにオープンしたカフェや、展望台のある駅前ビルで開催されているエッシャー展、駅近くで道行く人に好きな日本語の調査をしている外国人などどの話にも出てくるガジェットがあって、それぞれの話が並行して進行していることを示唆する。正直言うと常識的にはあり得ない設定もちらほら出てくるけれども、そこは伊坂幸太郎の絶妙なファンタジー描写で「まぁそういうことでいいか」と流せる。とりわけ、軽妙洒脱でさりげない教養溢れる会話は伊坂幸太郎ならではで楽しめる。そして各話で出てくるエピソードや小道具がそれぞれほかのエピソードにも登場してきたりすることで、だんだんと話が整理集約されていく。それぞれのエピソードは独立しているけれども完全に別個ではない。しかも読者がちりばめられた仕掛けをパズルのように組み立てていく過程でわかってくるのは、各エピソードが実は同じ時刻に同時進行しているのではなかったということ。各グループの出来事は日が一日ずつずれていたのだ。

「人生がリレーだったらいいと思わないかい?」
「リレー?」
「私の好きだった絵にそういうものがあってね。『つなぐ』という題名だった。それを観て思ったんだ。一生のうち一日だけが自分の担当で、その日は自分が主役になる。そうして翌日には、別の人間が主役を務める。そうだったら愉快だな、と」
「そうだとしたら、お前の出番はいつだよ」
 佐々岡はあまり考えなかった。「昨日だよ。君と久しぶりに会えて楽しかった。昨日は私が、私たちが主役だった」
「子供じみた考えだな」
「昨日は私たちが主役で、今日は私の妻が主役。その次は別の人間が主役。そんなふうに繋がっていけば面白いと思わないか。リレーのように繋がっていけば面白いと思わないか。リレーのように続いていけばいいと思わないか? 人生は一瞬だが、永遠に続く」
「人の一日なんてどれも似たり寄ったりだよ。俺たちの昨日も、おまえのカミさんの今日も、別の人間の明日だって、重ねて一度に眺めてみればどれも一緒に見えるさ」
「そんなことはない」と佐々岡は笑った。

 そうか、この物語の仕掛けはこれだったんだね(ネタばれゴメン)というわけ。これは市井の人への人生賛歌だな(登場人物はことごとくとんでもないことに巻き込まれたりやっていたりするけれども)。こういうところが伊坂幸太郎のエンターテイメントの気持ちいいところなんだよね。

「私には賭けるものなんてない」
「もし金庫があったら、俺のアドバイスを聞けよ」
「アドバイス?」
「泥棒なんていう孤独な仕事を続けているとな、誰も自分の言うことを聞いてくれない事実に愕然とするんだ。人は誰かに忠告されたい。同時に誰かにアドバイスしたいと思っている。そういうものだ」
「そういうものかい?」
「誰だって人生のアマチュアだからな。他人に無責任なアドバイスをしてだ、ちょっとは先輩面したいんだ」

ラッシュライフ(新潮文庫 新潮文庫)[伊坂 幸太郎]
ラッシュライフ[伊坂幸太郎]【電子書籍】

デビルイヤーは地獄耳

 7月半ばからS吹奏楽団の練習が再開したんだけれども、3月末以来しばらく楽器を吹いていなかったもんだから、再開後の練習でどうも自分の出している音に激しい違和感を感じていたんだよね。まるで自分の音ではないような感じ。まぁしばらく吹いていなかったんだから慣れてきたら前みたいに聞こえるようになるかなぁとか思っていたんだよ。でも、最近左耳がプールで水が詰まったような感じがするようになり、左側にいる人の話がとっても聞きづらいということを自覚しだした(在宅勤務が続いているので人と話をすることがほぼなくて気付かなかった)。どうも左耳がフィジカルによく聞こえていないようなのだ。

 SちゃんやIYに「突発性難聴かもよ」と脅されたので、耳鼻科に行って診てもらった。先生が耳の中をのぞくや否や「耳垢栓塞ですね」と一発診断。左耳は耳垢で鼓膜が見えていないほどの状態だとか。また左耳だけでなく右耳も相当らしい(ちょっとでもすき間があれば聴力には影響が出ないそうだ)。というわけで、吸引と洗浄で両耳とも耳垢栓塞を取ってもらってきましたよ。取った耳垢を見せてもらったんだけれども、黒い小豆を割ったくらいの大きさがあった(色は黒いんですよ。No Picture)。先生曰く「数年物ですね」と。

診療明細書_処置:耳垢栓塞除去(複雑なもの)(両側)
処置:耳垢栓塞除去(診療明細書より)

耳垢栓塞 | 病気スコープ

 ラフの耳垢のタイプは湿性なのだ。湿性タイプは耳垢栓塞になりやすいらしい。ちなみに耳垢の表現型(phenotype)には湿性と乾性があって、これはほぼメンデル遺伝する典型的な例として教科書によくとりあげられる。湿性が顕性(優性)だけれども、世界的分布から見ると東アジアは乾性のほうが多い(日本人も含む)。

耳かきで分かるあなたの先祖 意外な勢力図|エンタメ!|NIKKEI STYLE

 耳垢栓塞を除去してもらって、左耳の違和感もなくなってすっきりはしたんだけれども、なんだか聞こえすぎるのだ。今までだったら聞こえていなかったような小さな音まで拾ってしまっている。え、世の中ってこんなにうるさかったの?ってくらい。パソコンの音とかクーラーや換気扇の音、火のついたガスコンロの音、トイレの水を流す音にいたるまでこんなにうるさかったの?俺の耳はデビルイヤーになっちまったよ。

 そういえば、昔見たアジアンホラー映画に、盲目の少女が角膜移植手術により視力を回復したのだが、見えてはいけないもの(幽霊)が見えてしまうようになっていたというのがあったなぁ。ひょっとしたら、ラフも聞こえてはいけないものまでが聞こえているのではないかという気がしておびえている。

the EYE 【アイ】 – 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

Brush my face!!

朝、仕事前にシャワーを浴びたのであるが、シェービングジェルを顔に塗りたくった後、シェーバー(3枚刃T字カミソリを使っている)ではなく隣に立ててある歯ブラシを手にしてしまい、今自分が何をしようとしているのか混乱に陥った。数秒フリーズしたあと、シェービングジェルを塗りたくったのだから、ひげをそるという行為が next to do だろうと思い出して、歯ブラシを置いてシェーバーに持ち替えた。ルーティンワークのように頭使わずにやっているはずのことでも、ちょっとした不具合が発生して混乱してしまうのは、それだけ年を取ったということだろうか。今日は最終的には気づいたからいいものの、シェービングジェルを塗りたくった顔を歯ブラシでこすりだすのも時間の問題なのではないかと戦々恐々。

「社長は課長だったんです!!」

S吹奏楽団の仲間と親睦飲み会の席で、ある女性が突然次のようにのたまった

「聞いてください!!うちの社長は課長だったんです!!」

その場にいた全員、彼女が口にした日本語の意味が取れずに「この女はいったい何を言いだしたんだ?」。

彼女はさる非営利系の団体に勤めているのであるが、その団体は各センターみたいなものをいくつか持っている。彼女は、その中の1つで働いている。そして彼女が属しているセンターみたいな所の一番偉い人のことを彼女は「社長」と呼んでいるのである(会社ではない非営利系団体の中のいくつかあるセンターのトップなのだから、「社長」ではなく「センター長」とか「所長」だろうとか思うのだが、彼女にとっては「社長」らしい)。そしてその「社長」の指示の出し方や仕事のやり方が、彼女の合理的精神とは相容れないようで、これまでにも「社長」について、よく愚痴をこぼしていたのである(愚痴をこぼすだけでなく、職場でも直接「社長」本人にダメ出しをしているらしい)。

おそらく、彼女の発言に出てきた「社長」というのはその「社長」のことであろうことは理解した。でも「社長が課長だった」とはどういう意味だ?

よくよく聞いてみたところ、彼女が「社長」と呼んでいる人が、非営利系団体全体の中では「課長」相当の役職だったということらしいのだ。いつも「社長」と呼んでいた人が実はそういう立場の人だったことに彼女が勝手に驚いただけなのだが、それが上述の突拍子もない日本語となったわけであった。(そして同じセンターに彼女が言うところの「副社長」という人もいるのだが、その人は「係長」相当だったらしい)

仕事の合理化は結構だが(実際彼女は仕事ができる)、彼女が口にする独りよがりな合理化された日本語発言はちょくちょく必要な要素が足りていなくて結構おかしい。まぁそこが彼女が皆から愛されている理由の1つではあるのだが。

読了:ロング・ロング・アゴー(新潮文庫)[重松清]

ロング・ロング・アゴー

ロング・ロング・アゴー

  • 作者:重松清
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2012年07月

最後まで誇り高かったクラスの女王さま。親戚中の嫌われ者のおじさん。不運つづきでも笑顔だった幼なじみ。おとなになって思いだす初恋の相手。そして、子どもの頃のイタい自分。あの頃から時は流れ、私たちはこんなにも遠く離れてしまった。でも、信じている。いつかまた、もう一度会えるよねー。「こんなはずじゃなかった人生」に訪れた、小さな奇跡を描く六つの物語。

いいものあげる/ホラ吹きおじさん/永遠/チャーリー/人生はブラの上を/再会

子どもの頃の回想を中心として、大人になった今それを思い起こしてみるとというテーマの短編集。1話目と6話目はペアで過去と現在。子どもだって無邪気なだけでは生きているわけではなくって、思い出してみるとそこはなんだかほろ苦い。そして大人になって状況や考え方が変わっていい思い出として解決したかというとそういうわけではなく、子ども時代の連続の先に今の大人の自分はやっぱり成り立っているのだ。でもそれが人生だし生きていくうえでの深みになっているのかもしれない。

若干感傷的でなんだか湿っぽい話が多いが、基本的にはいい話系でまとめようとしてある。読後にはちょっとアッパラパーな痛快エンターテイメントを欲してしまう(個人の感想です)。

ロング・ロング・アゴー(新潮文庫)[重松清]
ロング・ロング・アゴー(新潮文庫)[重松清]【電子書籍】

読了:なんで僕に聞くんだろう。[幡野広志]

なんで僕に聞くんだろう。

なんで僕に聞くんだろう。

  • 作者:幡野広志
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日: 2020年02月

ガンになった写真家になぜかみんな、人生相談をした。恋の悩み、病気の悩み、人生の悩み。どんな悩みを抱える人でも、きっと背中を押してもらえる。webメディア・cakes史上最も読まれた連載の書籍化!!37コラムを選び、加筆修正。

「先の長くない友人のためにも、子供を産みたい」のウソ/批判と批難はまったく違う。批難の底にあるもの/コミュニケーション能力とはなにか/ファイティングポーズをとらないで勝ち得る恋愛など、ない/夢や目標を叶えられなかった人ほど「おまえには無理だ」という/ジャイアンが嫌い、ジャイアンのお母さんはもっと嫌い/「周囲の理解が必要」でも、すべて耐えなきゃいけないわけじゃない/ガン患者になんと声をかければいいか?/それは娘さんが非行にはしったのではなく、あなたの非行です/人が生きる理由〔ほか〕

著者は1983年生まれだから今37歳かな。34歳の時に多発性骨髄腫で余命3年の宣告を受けた写真家・狩猟家。ガンであることを公表するとSNSで悩み相談をしてくる人が現れ、読者相談人気コラム連載を持つようになり、それを書籍化したものが本書。いわゆる人生相談本。この著者のすごいところは、書きっぷりに悲壮感が全くないということ。そして嫌味のないユーモアにもあふれていること。そして言いたいことを言うんだけれども、説教臭さや道徳的な考えや世間体からの指摘は一切しない(むしろ「そんなの自分はする気はないし、相手も僕に相談するくらいだから望んでいないだろう」という感じ)。

著者の返答の基準はわりとしっかりとして揺らぎがない。人生における優先順位がはっきりとしている。まず自分、そして自分の息子(2歳。何よりも今後の世界を自分または妻よりも長く生きていくのだ)と愛する妻。自分や妻の親族に対しても、こういうことをしてくる彼らは自分の人生には不要で余計なおせっかいなので嫌いとはっきり書いている。

ぼくが守るべきものは彼の人生ではなく、ぼくの人生です。

だから相談者の相談内容もきっちりと読み込んだうえで、そこに偽善のにおいをかぎ取ればちゃんと指摘する。あなた(相談者)が優先すべきことは他人の思いではないと。そしてまた、自分の都合の良い解釈をしてしまっていることに気づいていないのであればそのこともきっちりと指摘する。そもそもが、相談者の悩みのほとんどは人間関係。人間関係であれば、身近な人に相談して自分で対処するしかないように思うが、人というのはそういうしがらみを知らないだろう人に相談しがちなのだ(知らないからこそ慰めてもらえると思っているような相談だってあるくらいだが、そういうところも著者は相談文面から読み取ってその甘さをきちんと指摘する)。そういうわけで「なんで僕に聞くんだろう。」なのだ。

「なんで僕に聞くんだろう。」というタイトルどおり、ぼくはいつもこの疑問の壁にぶつかっている。相談がくることに不満があるわけじゃない、人間関係がすでに構築された身近な人が親身になって相談にのってあげたほうが、ぼくよりも適任だと考えているからだ。

著者は自分が特別にできた人間だとはまったく思っていないが、相談されたからには(他人からであろうが)、息子から将来同じようなことを問われたとしたら、どう答えるだろうかという基準で返信している。どんな辛辣なことを書いても、そこにはやはり愛がある。これがこの人生相談が大人気になっている理由なのであろう。

幡野広志|note

なんで僕に聞くんだろう。[幡野広志]
なんで僕に聞くんだろう。[幡野広志]【電子書籍】

読了:大人のおむすび学習帳[たにりり/ツキシロクミ]

大人のおむすび学習帳

大人のおむすび学習帳

  • 作者:たにりり/ツキシロクミ
  • 出版社:キクロス出版
  • 発売日: 2019年09月

“自分にあうお米をさがせ!”“おむすびは手加減、ゆる加減”“適当に選んで最高になる具材”“ほめられる盛り付けの極意”-毎日が幸せになる30のコツ。

第1章 自分にあうお米をさがせ!(お米は「野菜」です / おいしいお米ってなに? ほか)/第2章 おむすびは手加減、ゆる加減(ご飯を正しく炊いてる? / これで完璧!ご飯のおいしい炊き方 ほか)/第3章 適当に選んで最高になる具材(おむすびは口中調味フード / 基本は引き算 ほか)/第4章 ほめられる盛り付けの極意(盛り付けは脳が決める / おむすび弁当の“新ルール” ほか)/第5章 「おいしい」という魔法の言葉(炭水化物は本当に敵なのか? / おむすびは太るってホント? ほか)

「生まれながらにして料理の上手下手の別なし。ただおむすびを学ぶか学ばないか、だ」

かわいいイラスト猫が語り部のおむすび雑学本(「食」とは何かを「おむすび」を通して見直そうという食育啓発本とも言える)。一応ストーリーらしきものがある。米屋のゆきちじいさんが、亡くなるシーンからはじまるのだが、ゆきちじいさんは「おむすびのすすめ」という自著(というかメモノート?)を飼い猫のシロに託す。シロはこの本を猫仲間の集会に持っていき、みんなで読んでいくという設定。おむすびにはどんなお米がいいのか、米の炊き方、どんな具がいいのか、盛り付けは?おむすびはダイエットに向いているのか?といった雑学的話題が猫イラストとともに紹介されていく。レシピ本ではないので、写真は盛り付けのところとかごく少数で、おむすび自体も大方イラスト。「おむすび」を通して学んだことをほかの料理にも応用してみようという漫画も挿入されている(「フレンチトースト」「まぐろの漬け丼」「ステーキ」「カレーライス」)。結論は「楽しいはおいしい、おいしいは幸せ」。そうか、おむすび作ってみるかな。

この本を読んで、おむすびを作ろうという気分になってくれたら、とても嬉しいです。でもあなたがお料理をしてもしなくても、ほんとうはたいして重要じゃない。大切なのは、毎日の食を楽しむこと。この本とおむすびがいくらかでも役に立つといいなと思っています。あなたの明日が今日よりすこし楽しくなりますように。

大人のおむすび学習帳[たにりり/ツキシロクミ]

置き傘

7月7日。七夕。年中行事は時々押さえるものの、あまり時事ネタを扱わないというか、時事の出来事があることさえも希薄である当サイトである。新型コロナの緊急事態宣言があったことなども、まるでなかったかのような。しかし、ラフは緊急事態宣言以降、解除されてもまだ原則在宅勤務が続いているのでありますよ。

で、本日、昼頃、職場より緊急作業依頼電話がかかってきまして、在宅環境からはアクセスできないネットワーク(セキュリティ上の制約)での作業をすることとなり、急遽午後から出社。出かけには雨がパラパラ振りかけていたので傘を持って出社。社内からしか接続できないネットワークとはいえ、作業自体はそれほど大変なものではなく、数分で終了。そのまますぐ帰ってもよかったんだけれども、まぁついでだからとほかの作業に取り掛かる(これらの作業は実は在宅でも可)。で、作業を終えて帰ったわけだけれども、帰ってから気づいた。「あ、傘を会社に置きっぱなしにしてきてしまった」

在宅の昨今、次に出社する予定はしばらく先だなぁ。梅雨時だけれども、まぁ外に出なければ問題ないか。