時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもないー。“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が、本書の前半で「物理学的に時間は存在しない」という驚くべき考察を展開する。後半では、それにもかかわらず私たちはなぜ時間が存在するように感じるのかを、哲学や脳科学などの知見を援用して論じる。詩情あふれる筆致で時間の本質を明らかにする、独創的かつエレガントな科学エッセイ。
第1部 時間の崩壊(所変われば時間も変わる/時間には方向がない/「現在」の終わり/時間と事物は切り離せない/時間の最小単位)/第2部 時間のない世界(この世界は、物ではなく出来事でできている/語法がうまく合っていない/関係としての力学)/第3部 時間の源へ(時とは無知なり/視点/特殊性から生じるもの/マドレーヌの香り/時の起源)
著者の研究テーマ紹介を兼ねた「時間」とは何かに関する刺激的なエッセイ。
大きく3部構成になっている。
第1部は、物理の世界における時間について。相対性理論において時間の速さは観測者ごとに異なるという話から。そこから量子レベルまで掘り下げていくと、時間にも最小単位(プランク時間)というものがあって、連続ではないらしい。
第2部は、量子レベルに至ったので、著者の研究している「ループ量子重力理論」について。この理論によると、世界は粒子の関係性だけで表現できるそう。そこに時間を表す変数は含まれていない。時間というものは物理的には存在しないのだ。
第3部、じゃ、私たちが感じている「時間」とは何なのか?今度は量子レベルからマクロの世界へ向かっていき、どこで時間というものが生じるのかを考察する。エントロピー増大の法則が登場するあたりで時間の感覚というものが生じるのであるが、ここでのキーは「記憶」だそうな。そして「記憶」と「時間」について人類が古来どのように考察して来たのかを人文科学にまで広げて述べていく。
■ 時間は存在しない[カルロ・ロヴェッリ/冨永 星]
■ 時間は存在しない[カルロ・ロヴェッリ]【電子書籍】
こちらの記事もぜひ!!
- 読了:生命進化の物理法則[チャールズ・コケル/藤原 多伽夫] (2024年5月19日)
- 2001年宇宙の旅 (2019年1月6日)
- ゼロの未発見 (2018年5月14日)
- 時間が一方方向にしか進まないのは (2017年3月7日)
- 「甘さ」を知覚する仕組み (2017年10月13日)