千葉県のどこかと思しき街が舞台。オムニバス形式の高校生たちによる日常推理小説。とりわけ表題作「早朝始発の殺風景」は素晴らしい。シチュエーションとキャラクター設定が秀逸なのだ。それに比べるとほかの話は、いまひとつ。というのも、登場人物のすべてが全員同じようななぞ解きの発想をし、同じような手順を踏むのだ。ちょっとこれにはびっくり。性格はそれぞれ描き分けられているのに、なぞ解きの仕方がみんな一緒。確かに、前言やシチュエーションから謎を解いていく(伏線を回収する)ロジックは読んでいてすっきりとして気持ちがいいけれども、え、その人もそういう発想するの?え、そんなそんなこと思う?とかちょっと腑に落ちない状況があるのだ。この手のなぞ解き方法がもっともしっくり来たのが、「早朝始発の殺風景」の登場人物だったというだけかも。
書き下ろしのエピローグは必要?「早朝始発の殺風景」の後日譚なんだけれども、各ストーリーの登場人物も総登場。だからといって、そのことが効果的かというとそうでもない。「早朝始発の殺風景」は本編の終わり方のままであった方が、ゾッとして良かったのになぁ。ないほうが作品として面白かったのでは?同じ街の出来事であることを説明するための後付けのようで、またとって付けたような青春ものにしなくてもよかったのではと思う。エピローグを付けるなら、伊坂幸太郎や加納朋子みたいな「うわぁやられた!!」くらいのものを期待しちゃうよ。
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