「ゲーム・オブ・スローンズ」を観て、「神」と「神々」をおもう

 最近、流行りのドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」を観はじめた。まぁまぁおもしろい。世界観的には中世ヨーロッパをモデルにしているようなのだが、中世ヨーロッパといえば「キリスト教(一神教)」の世界である。しかしこの劇中では基本的には多神教世界なのだ。劇中に「光の神」のみを崇める一神教が登場するのだが、こっちの方がかえって異教的に見える効果を生んでいる。

ゲーム・オブ・スローンズ|ワーナー・ブラザース
wikipediaの「ゲーム・オブ・スローンズ」の項

 ラフは基本的には無宗教者なのだが、それでも思想信条的には多神教というかアニミズム的なすべての自然に神々が宿るみたいなものを自分自身のバックグラウンドとして持っていることを認めるにやぶさかではない。もっとも誤解がないように言っておくと、だからといって自然のあらゆるものに実際になんらかの魂なるものが宿っているということを事実とすることには否定的である。

 さて単数形・複数形を厳密に区別しない日本語環境、多神教的なるバックグラウンドにいると、「神」と「神々」は単に単数形・複数形の違いだと思いがちである。一神教というものを誤解してしまいやすいのだ。「神」とは多くの「神々」を統合していっていろんな能力・機能が1つになったものでは?と思ってしまうのだ。神々が統合されたものが神なんでしょ?と。「神」とは根本的な唯一絶対の真理そのものである至高の「存在」なのである。日本語で「八百万の神」なんて言うように「神」といっても「神々」だという認識も平気でできてしまうが、単数形・複数形を持つ言語の人々にとって「神」と「神々」とをいい加減に使い分けることはありえない。ましてや一神教を信奉する人にとって「神々」となるとそれは異教(邪教)のことなのである。

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