読了:憲法で読むアメリカ史(ちくま学芸文庫)[阿川尚之]

憲法で読むアメリカ史

憲法で読むアメリカ史

  • 作者:阿川尚之
  • 出版社:筑摩書房
  • 発売日: 2013年11月

建国から二百数十年、自由と民主主義の理念を体現し、唯一の超大国として世界に関与しつづけるアメリカ合衆国。その歴史をひもとくと、各時代の危機を常に「憲法問題」として乗り越えてきた、この国の特異性が見て取れる。憲法という視点を抜きに、アメリカの真の姿を理解するのは難しい。建国当初の連邦と州の権限争い、南北戦争と奴隷解放、二度の世界大戦、大恐慌とニューディール、冷戦と言論の自由、公民権運動ー。アメリカは、最高裁の判決を通じて、こうした困難にどう対峙してきたのか。その歩みを、憲法を糸口にしてあざやかに物語る。第6回読売・吉野作造賞受賞作の完全版!

アメリカ合衆国憲法の誕生/憲法批准と『ザ・フェデラリスト』/憲法を解釈するのはだれか/マーシャル判事と連邦の優越/チェロキー族事件と涙の道/黒人奴隷とアメリカ憲法/奴隷問題の変質と南北対立/合衆国の拡大と奴隷制度/ドレッド・スコット事件/南北戦争への序曲〔ほか〕

アメリカ史を時代ごとの憲法解釈の面(つまりは司法)からたどる。アメリカ史の主要トピックであるアメリカ独立、南北戦争、二度の世界大戦、またネイティブアメリカン問題、人種人権問題をアメリカがどうやって乗り越えてきたのか。司法(連邦最高裁とその判例における憲法解釈)を通してみてみるとアメリカ史にはこういう面白さもあるのかと思うところ多し。そもそも、アメリカの州(日本の都道府県とは違ったもっと独立性の高い存在)と連邦政府の関わりを憲法はどのように定めて連邦政府の権限を縛っているのか、連邦政府はどこまで州に関われるのかという遷移を知ることができる。憲法解釈のためのキーワードが素人には若干難しいものの、全体的には読みやすくおもしろかった。

憲法で読むアメリカ史(ちくま学芸文庫)[阿川尚之]
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