読了:異常【アノマリー】[エルヴェ・ル・テリエ/加藤 かおり]

異常【アノマリー】

異常【アノマリー】

  • 作者:エルヴェ・ル・テリエ/加藤 かおり
  • 出版社:早川書房
  • 発売日: 2022年02月02日頃

もし別の道を選んでいたら…良心の呵責に悩みながら、きな臭い製薬会社の顧問弁護士をつとめるアフリカ系アメリカ人のジョアンナ。穏やかな家庭人にして、無数の偽国籍をもつ殺し屋ブレイク。鳴かず飛ばずの15年を経て、突如、私生活まで注目される時の人になったフランスの作家ミゼル…。彼らが乗り合わせたのは、偶然か、誰かの選択か。エールフランス006便がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。約3カ月後、ニューヨーク行きのエールフランス006便。そこには彼らがいた。誰一人欠けることなく、自らの行き先を知ることなく。圧倒的なストーリーテリングと、人生をめぐる深い洞察が国際的な称賛をうける長篇小説。ゴンクール賞受賞、フランスで110万部突破ベスト・スリラー2021(ニューヨーク・タイムズ、パブリッシャーズ・ウィークリー)。

前半はいろんな人のエピソードが次々繰り出され、ただ皆ある同じ飛行機に乗って乱気流に巻き込まれているという共通点があるだけで、なんだろうなぁとは思いながら読み進めていく。中盤で明かされた何が起こっているのかはとてもSFらしい設定でおもしろかった。後半はそれを踏まえて事件後のエピソードが前半のように登場人物ごとに紹介される。SFというよりも哲学的思考実験みたいな感じになっていてそういうところにフランス臭を嗅いだり嗅がなかったり。自分とは何かといった存在論を踏まえた物語という感じで、起こった出来事をうまく着地させるようなエンターテイメント性は薄い。

異常【アノマリー】[エルヴェ・ル・テリエ/加藤 かおり]
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