金魚とカワセミ/東京タワーとアーツ・センター/トマトジュースとバタフライピー/赤鬼と青鬼
一枚の絵画の誕生から数十年に渡る連作短編。それぞれの短編の中にいつも出てくる「エスキース」という絵画。この絵が見てきた人生模様とは。
う~ん、きれいでそこそこまとまっているけれども当たり障りのないなんだか水のような小説だなぁと思って読んでいたわけよ。出てくるものの象徴性はよく考えられているとは思うんだけれども、肝心のストーリーは重厚さやドラマ性に欠ける。深夜30分枠くらいでやっているようなテレビの気の抜けたオムニバスドラマのような感じ。ふ~んと読み進めていたんだけれども、「赤鬼と青鬼」の最後数行で「あれ????」と思ったわけ。そしてそのあとに続くエピローグでその違和感の種明かし。この構成は連作短編によくあるものだけれども「あぁうまい!」と思った。仕掛けは良かったのだ。でもさ、この種明かしエピローグが長すぎやしないかい?逐一あの出来事はこうで、この出来事はこうだったということを説明していくのよ。「みなまで言うな」って感じでちょっとしつこくて興ざめ。
■ 赤と青とエスキース[青山 美智子]
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