ゲルマン民族ヴァンダル族王国史。もともとヴァンダル族はスカンジナヴィア半島の出だとされている。かれらはいわゆる「ゲルマン人の大移動」とされる時代に、ドイツ>ガリア(フランス)>スペイン>ジブラルタル海峡をアフリカに渡り最終的にはカルタゴまで移動した。海賊業で地中海を鳴らしたものの王国は跡形もなく滅びてしまう。
この時代の主要なゲルマン民族としては、ガリアのフランク族、イタリアの東ゴート族、スペインの西ゴート族、アフリカのヴァンダル族、それから分裂したての東西ローマ帝国(西ローマは476年に早くも滅亡)との関わり、キリスト教カトリックとアリウス派の対立(ローマはカトリック、ゲルマン民族は基本的にはアリウス派)を軸に話が展開される。
後半に向かってとにかく人名がたくさん出てくるんだけれども、聴きなじみのない響きの名前ばかりで、だれがどの国の人?えと誰の子供だっけ?誰と誰が対立してるんだっけ?とか大混乱。ある程度この時代に関する知識がないと厳しいかも。ただ、松谷氏の文体は一文が短く講談風に読めるので、分からなくても筋だけ追うならさくさくとは読める。アフリカにまで渡ったゲルマン民族ヴァンダル族に興味があればぜひ。
■ ヴァンダル興亡史 地中海制覇の夢【電子書籍】[ 松谷健二 ]
こちらの記事もぜひ!!
- 読了:文庫 最後の錬金術師 カリオストロ伯爵(草思社文庫)[イアン・マカルマン/藤田 真利子] (2023年7月10日)
- 読了:ヴァロワ朝 フランス王朝史2 (講談社現代新書) [ 佐藤 賢一 ] (2019年3月18日)
- 読了:カペー朝ーフランス王朝史1 (講談社現代新書) [ 佐藤 賢一 ] (2019年2月8日)
- 読了:教養としての「ローマ史」の読み方 [ 本村凌二 ] (2018年6月20日)
- 読了:皇帝フリードリッヒ二世の生涯【電子書籍】[ 塩野七生 ] (2018年12月17日)