破壊する創造者、堕落した王妃、不死の恐竜伯爵、男から女への進化、完全なる神話学的生態系、等々。生命をめぐるグロテスクで寓意に満ちたイメージが、幻視者、大原まり子のゴージャスかつシンプルな文体で、見えざる逆説と循環の物語として紡ぎあげられた。現代SF史上もっとも美しくもっとも禍々しい創造と破壊の神話群。第15回日本SF大賞受賞作とその続篇を、著者自ら再編成しておくる、華麗で残酷な幻惑の輪舞。
とても読みやすいのに、技巧もしっかり施してあるSF短編集。地球はすでに滅亡しているらしい宇宙を舞台にしたとんでもなく未来の話らしい。コミカルで軽妙洒脱なものから、神話を思わせる重厚なものまで、まるで夢の世界を描いたような不思議な非現実感と美しさを伴った文章はどれも読ませる。読み初めの思い込みを裏切る仕掛けのある話も面白い。概してどの物語も情景描写が巧みでSFながらの不思議な設定ととてもあっている。大人のための寓話。
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