デュオ/呪界のほとり/夜と泥の/象られた力
最初の1篇はサイコスリラーかサイコホラーって感じの作品だけれども、続く3篇はSF。構成力や発想は表題作「象られた力」がうまいこと作りやがったなぁと思う。しかし、読むべきは3番目の「夜と泥の」である。人類が入植したある惑星の夏至の晩にのみ、ロボット、ナノマシーン、もともとの沼の生物群、そして遺伝子工学で一夜の命を与えられた少女の混沌とした戦いが繰り広げられる。その様の描写がすばらしいのだ。吟味された言葉の選択と洗練された美しい描写力はまさに息をのむほど。文字だけなのにその情景に圧倒されたよ。
■ 象られた力(ハヤカワ文庫)[飛浩隆]
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