いやぁ、おもしろかった。面白すぎてページを繰る手が止まらなくて一気読みしてしまったよ。音楽好きにはたまらんのではないかと。
一応、ミステリーではあるんだけれども、それ自体はそんなに大したものではないし、どっかで聞いたことのある設定だなぁって感じ。
この作者の神髄は、なんといっても演奏される曲の展開描写の妙。どのような演奏なのかをまるで楽譜を見ながら曲を聴いているかのような追随体験できる。そして登場人物のその時の五感や心情を主観的に交える。これがもう本当に読んでいてスリリングなんだよ。知っている曲だとなおさら、「あぁそういう曲だった、確かにそういう感じだった」とか頭の中で曲が鳴ってしまうんだよ。メインのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はもちろん、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲も素晴らしい描写。
音大生の生態も割とリアルなんじゃなかろうか。登場人物の性格を楽器の性格に合わせすぎというか型にはまりすぎている気はするんだけれども、あぁ確かにこの楽器奏者はこういう感じの人いるいるとか思っちゃったよ。それにしても岬先生、出来過ぎじゃね?
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