イスラエルの歴史を通史として復習しておこうと思って読んでみた。イスラエルの歴史としては、旧約聖書の時代、新約聖書およびローマ時代、第1次大戦以降の現代史を押さえておけば、まぁいいかなということを再確認。現代史は著者の経験を踏まえたエッセイ風でわかりやすかった。話題ごとに歴史の叙述が前後したり、何の話をしているのかがつかみにくかったり、若干読みにくい(落ち着いて前後の文を改めて読み込めばなんとかわかるのだが)。
カテゴリー: 読書
読了:AI vs.教科書が読めない子どもたち [ 新井 紀子 ]
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AIに東大入試を合格させる「東ロボくん」プロジェクトの責任者による話題の著書。現時点でのAIの実態を説明する科学記事の前半と、それをうけてAIによって仕事を奪われるという危惧を理解するための教育調査報告とその対策展望の後半よりなる。
「東ロボくん」プロジェクトの経験からAIに得意なこと、不得意なことを説明していく。AIはコンピュータである限り数学のロジックに直さなければ利用できないこと、入試問題で高得点を取ることができるようになってはきたが、フレームワーク問題が存在すること(チェスのAIはチェスのことしか解決できない)や、入試問題そのものやAIが導き出したその解答の意味をAI自身は理解しているわけではないこと(統計的に処理して作り出したものでしかない)などが説明される。
後半では、じゃAIが得意なことや苦手なことを、人間はどれくらい対応できているのか?というテストをしたところ、なんと簡単な理論文の読解さえできない層が存在することが明らかになった。教育がまずは目指さなければならないことは、最低限「教科書に書かれていることを読めばわかる」ことであるという。これができないと、単なる統計処理しかできないAIと能力の差別化が図れず、AIによって仕事を奪われることになるだろうという。
ラフはAIに関しては、割と楽観しているのでAIに仕事を奪われて仕事がなくなるということは、まぁ当分(ここ数十年くらい)心配する必要はないんじゃないの?とは思っている。シンギュラリティの到来に関しても、今のAIの設計を根本的に変えるような革新的思考や技術が生まれない限りは、来ないだろうなぁと考えている。
読了:カペー朝ーフランス王朝史1 (講談社現代新書) [ 佐藤 賢一 ]
読了:ファンタジーランド 【合本版】狂気と幻想のアメリカ500年史【電子書籍】[ カートアンダーセン ]
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今、とても話題になっている書籍。事実よりも、自分が望む幻想を真実として信じ込む現代アメリカ人の特質を、その建国からの歴史とともに、主に宗教の変遷を軸に描いた作品。「フェイクニュース」とか「オルタナティブ・ファクト」なんて言葉が一般に使われるようになる今日の現象は、アメリカの建国以来の歴史を振り返ってみればさもありなんということか。世界で一番キリスト教的な国アメリカはいかにして生まれて形成されたのか。
歴史上初の、プロテスタントによる実験国家としてはじまったアメリカ。何を信じるか、何をするかを自分自身で決められる個人主義国。なんでもショービジネス化(宗教でさえも)し、発達したエンターテイメントメディアで拡散することにより、自分の好きなことを好きなようにとらえるファンタジーランドと化していくアメリカの歴史。一方で建国の父たちに代表される啓蒙主義、合理主義を尊重したきた国でもある。この両者を危うくなることはあってもバランスをとってきたのがアメリカという国なのだが、1960年以降、自分が信じているものに反することは真実ではないとする風潮に大きく傾いていく。良識を権威ととらえ、それを嫌うアメリカ人の気質が、極端な空想や陰謀論、疑似科学をますます受け入れていく。
「歴史は繰り返さないが韻を踏む」。現在の偏りが再びバランスを戻すこともあるかもしれない。しかし、それを待っている時間はない。ファンタジーランドの住民であってもよいが、その人が信じているものが人に危害を加えるようなものとなってしまうものであってはならない(ワクチン接種が自閉症を起こすと信じて子供のワクチン接種を拒否するなど。これは公衆衛生的に害をなす)。
ラフは、創造論(インテリジェント・デザインを含む)、進化論の対立のくだりはとてもおもしろく読んだ。こんなことが大真面目に裁判沙汰になるアメリカってクレイジーだなとは前々から思っていたけれども、この本を読んで、なるほどそういうバックグランドがあるなら、科学も宗教も考え方(一つとしての意見=その人にとっての真実)なんだから、創造論を本気で信じちゃっている人がいるってそういうことなんだなと思ったり思わなかったり。
橋本治
そうか、橋本治氏が亡くなったか。「桃尻娘」シリーズ大好きだったな。「桃尻語訳枕草子」もよく読んだ。評論なんかもおもしろかった。
読了:わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡ー塩野七生ルネサンス著作集7ー【電子書籍】[ 塩野七生 ]
読了:ハロー・ワールド [ 藤井 太洋 ]
年末年始のゲイもの鑑賞
年末年始休みに、ゲイものをいくつか消化したので、その紹介。
■ あさな君はノンケじゃない! [ あさなさくま ]
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昨年末に出た、普通のゲイの日常エッセイマンガ。エロ要素はなし。絵柄が柔らかくて好き。話題もわかるわかるってところは多い。著者が言うように、主人公はゲイの一例でしかないというのは当然なんだけれども、それでも共感できる部分は多い。そりゃ、美大出でアパレル勤務で女装趣味があってゴージャスな交友関係があってっていう部分だけ取り出せば、特殊なゲイだという面はあるかもしれないけれども、普段感じること考えることは同じだなぁと思う。パートナーとの出会い、生活の章は特にほのぼのとする。でもまぁ、アラサーってことは、20代後半?そんな彼が、年下のゲイ友に新たな世代の到来を感じるとか、自身の肌の問題が気になるとか出てくると、ラフのようなアラフィフおっさんはもう一体どうしたらいいのかと思ってしまうよ。ノンケが読んでもおもしろいように(興味本位に堕することなく)描かれている部分も好感が持てる。
■ 青のフラッグ 1 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 2 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 3 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 4 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 5 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
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某ゲイブログで絶賛されていた青春マンガ。とりあえず現在出版されているところまで読んだ。恋と友情に揺れる高校3年生の4人組を中心に描かれる。この4人組、男子2名(幼馴染のA君、B君)に女子2名(親友同士のCさん、Dさん)なのだが、心優しいけれどもどんくさいCさんは、スポーツ万能のイケメンB君が好きで、それを知った地味目のA君はCさんの恋を手伝うことになる(やがてA君はCさんに惹かれていく)。でも、B君が好きなのはどうやらA君で(作中では決定的には明らかにはされていないが強くほのめかされている)、A君もCさんもそのことを知らない。そしてCさんの親友Dさんは実はCさんが好きなのだ。B君とDさんはお互いにこのことを知っている。やがてCさんはB君への思いは単なる憧れであることに気づき、A君を好きなっている自分に気づき……。文章にすると分かりにくい関係だなぁ。
異性間の友情は成り立つか?というのはどうやらノンケ世界では永遠の話題であるようだ。ゲイのラフとしては当然成り立つのであるが。じゃノンケに惚れたゲイが恋をあきらめようとして友情を続けることはできるのか?仲良くしたい、あるいは思いを寄せる相手との関係に、好意を持っているがゆえに思い煩う青春の甘酸っぱさ。今後の展開が楽しみだ。
■ 青のフラッグ 1 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 2 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 3 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 4 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ 青のフラッグ 5 (ジャンプコミックス) [ KAITO ]
■ Love, サイモン 17歳の告白【Blu-ray】 [ ニック・ロビンソン ]
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アメリカでは高評価だったにも関わらず、日本では公開されなかった映画。すごく好感の持てるさわやか青春映画なのに、なんで日本では公開されなかったんだろう。
ゲイであることを隠して生きる普通の高校生が、同じ高校にいるらしい隠れゲイとメールで親しくなっていくものの……。友達や家族との関係、カミングアウトとアウティング、いろんな問題を抱えつつも自分自身が生きていくための力を自分でつかんでいく様に希望が持てる。とりわけ、アイデンティティを模索する中「ゲイのファッション」をネットで検索していろいろ試してみるんだけれども、結局はいつもの自分通りの服装を選ぶシーンがよかった。まぁラストで、やっぱりイケメンはイケメンと出会うのねっていうところがおとぎ話的ハッピーエンドではあるけれども、前向きになれる青春映画。
■ Love, サイモン 17歳の告白【Blu-ray】 [ ニック・ロビンソン ]
■ 「やがて君になる」
先だってのクールでとても評判が良かったアニメ(原作も評価が高いらしい)。自分自身が何者か、人を好きになるとはどういうことかという青春ものとして至極真っ当なものではあるんだけれども、なのになんだか、同性を好きになるってことをバカにされているような描き方な気がするのはなんで?このザラザラした違和感は何だろう。若干の気持ち悪さと腹立たしさを感じる。ゲイに惚れられるおそらくノンケが主人公ということでは、去年大流行したドラマ「おっさんずラブ」が素直に受け入れられたのに、こっちは受け入れられないのはなぜだろうか?ちょっと考えてみたい。
上に何度も「普通」と書きながら、「普通」ってなんだよと、自分自身に突っ込み続けたラフは、今年もゲイです(当たり前だ)。今年もよろしく。
読了:日本人の英語 (岩波新書) [ マーク・ピーターセン ]
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東京に戻ってくる新幹線の中で読んだ一冊。前から読みたいと思っていたんだけれども、確かに面白かった。もともとは理系向けの専門雑誌に掲載されていた記事。日本人の書く英語論文の添削をしてきた著者の経験から、日本人の奇妙な英語がなぜ生まれるのか、ネイティブはどういう発想をしているのかについて具体的な例文(これがまたもとの掲載が掲載だけに論文系の堅い例文)をあげながら解説される。主に冠詞や前置詞、副詞などの細かい語のレベルの話が本書の大半を占めているが、語の選択を誤ると論の展開もおかしくなる点は納得。でもまぁ、新書なので、これを読んだから自然な英文が書けるようになる指南書とかは期待できない。こういうことがあるよ、こういうところに気を付けるといいんだよというエッセイ程度で読むのが吉か。著者も言うように、自然な英語に習熟するには「読んで、読んで、読んで」「書いて、書いて、書いて」いくしかないのだ。今年はちゃんと英語勉強しようかな(抱負として宣言できないところが弱い)。
読了:無菌病棟より愛をこめて (文春文庫) [ 加納 朋子 ]
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ミステリー作家加納朋子のノンフィクション。急性白血病にかかった自身の入院治療体験をつづる。レアな体験を記録せずにはいられない物書きの性。絶望的な体験、苦しい闘病生活の中で、何が大切か、何をしなければいけないか、具体的にわかりやすく書かれているのでおもしろい(不謹慎か?)。がん治療ってこういうものなんだ、無菌室ってこういうところなんだと、知ることができる。また、家族友人、病院スタッフ、医療技術の進歩、多くのものに支えられていることへの感謝をつづる加納の視点は、彼女の日常ミステリーと同じくユーモアも交えつつ暖かい。できるだけ多くの方が希望を持って治療に臨めるようにというメッセージが込められている。