読了:月10万円でより豊かに暮らす ミニマリスト生活[ミニマリストTakeru]

月10万円でより豊かに暮らす ミニマリスト生活

月10万円でより豊かに暮らす ミニマリスト生活

  • 作者:ミニマリストTakeru
  • 出版社:クロスメディア・パブリッシング
  • 発売日: 2020年04月17日頃

収入ゼロ、貯金ゼロになりかけて学んだこと。ミニマリズムは「健康」「お金」「仕事」「人間関係」「モノ」の悩みを解消する。

プロローグ 人生どん底で見つけた光、それがミニマリズム/第1章 汚部屋を片付けて、身軽な人生に/第2章 モノを手放し自分らしく生きる/第3章 ストレスを減らす暮らし方/第4章 その人づき合いやめませんか?/第5章 大切なお金の問題を考えよう/エピローグ 大好きなことに集中するために生きよう

ミニマリスト生活や月10万円生活の具体的な方法論が記述されている書籍ではないです。書かれているのは、本当に人生を豊かに暮らすとはどういうことか、思い通りの人生にするための心構えに関する観念論的話。意識高い系セミナーのような感じ。いわゆる「引き寄せ理論」みたいなことが、切り口を変えては同じことが執拗に繰り返し書かれています。言いたいことはそこなんだろうなということはわかるのですが、どこまでいっても具体性がなく意識の変革を洗脳的に迫ってくる精神論的書物。読みやすく仕上げてあるのだけれども、ここまでやられるとしつこすぎてかえってそこが怖い。

月10万円でより豊かに暮らす ミニマリスト生活[ミニマリストTakeru]
月10万円で より豊かに暮らす ミニマリスト生活[ミニマリストTakeru]【電子書籍】

読了:1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365[デイヴィッド・S・キダー/ノア・D・オッペンハイム]

1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365

1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365

  • 作者:デイヴィッド・S・キダー/ノア・D・オッペンハイム
  • 出版社:文響社
  • 発売日: 2019年12月24日頃

シリーズ累計150万部!世界中でベストセラー。毎日5分で1年後、健康の常識が身につく。「1日1ページ、読むだけで身につく」シリーズ、待望の新作のテーマは「健康」!アスピリンからX線撮影、頭痛からヒポクラテス、バイアグラからインフルエンザまで、実用的かつ面白い知識が満載!

シリーズ第4弾は「からだ編」。第1弾と第2弾「人物編」と第3弾「現代編」の感想は以下に。

読了:1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 [ デイヴィッド・S・キダー ]

読了:1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 人物編[デイヴィッド・S・キダー/ノア・D・オッペンハイム]

読了:1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 現代編[デイヴィッド・S・キダー/ノア・D・オッペンハイム]

曜日ごとのテーマは、月曜日が「子ども」、火曜日が「病気」、水曜日が「薬と代替療法」、木曜日が「こころ」、金曜日が「性徴と生殖」、土曜日が「ライフスタイルと予防医学」、日曜日が「医学の歴史」。健康に関する知っておくとよい知識満載。このシリーズを通して各トピックスに対する内容はやはり薄いものの、「興味を持ったことは自分で調べてみてね、そのきっかけになれば幸いです」というスタンス。「代替療法」とか出てくるとなんだか怪しげなものも出てくるんじゃないの?とか思ったけれども、概してまじめ。実践する場合は主治医に相談が望ましい、とか、結論はまだはっきりしていない、とか書きっぷりも良心的。原著の内容はアメリカの話題なので、訳注で「日本では」ということも時折挟まれている。

1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365[デイヴィッド・S・キダー/ノア・D・オッペンハイム]
1日1ページ、読むだけで身につくからだの教養365(365)[デイヴィッド・S・キダー/ノア・D・オッペンハイム/ブルース・K・ヤング]【電子書籍】

読了:異常【アノマリー】[エルヴェ・ル・テリエ/加藤 かおり]

異常【アノマリー】

異常【アノマリー】

  • 作者:エルヴェ・ル・テリエ/加藤 かおり
  • 出版社:早川書房
  • 発売日: 2022年02月02日頃

もし別の道を選んでいたら…良心の呵責に悩みながら、きな臭い製薬会社の顧問弁護士をつとめるアフリカ系アメリカ人のジョアンナ。穏やかな家庭人にして、無数の偽国籍をもつ殺し屋ブレイク。鳴かず飛ばずの15年を経て、突如、私生活まで注目される時の人になったフランスの作家ミゼル…。彼らが乗り合わせたのは、偶然か、誰かの選択か。エールフランス006便がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。約3カ月後、ニューヨーク行きのエールフランス006便。そこには彼らがいた。誰一人欠けることなく、自らの行き先を知ることなく。圧倒的なストーリーテリングと、人生をめぐる深い洞察が国際的な称賛をうける長篇小説。ゴンクール賞受賞、フランスで110万部突破ベスト・スリラー2021(ニューヨーク・タイムズ、パブリッシャーズ・ウィークリー)。

前半はいろんな人のエピソードが次々繰り出され、ただ皆ある同じ飛行機に乗って乱気流に巻き込まれているという共通点があるだけで、なんだろうなぁとは思いながら読み進めていく。中盤で明かされた何が起こっているのかはとてもSFらしい設定でおもしろかった。後半はそれを踏まえて事件後のエピソードが前半のように登場人物ごとに紹介される。SFというよりも哲学的思考実験みたいな感じになっていてそういうところにフランス臭を嗅いだり嗅がなかったり。自分とは何かといった存在論を踏まえた物語という感じで、起こった出来事をうまく着地させるようなエンターテイメント性は薄い。

異常【アノマリー】[エルヴェ・ル・テリエ/加藤 かおり]
異常【アノマリー】[エルヴェ ル テリエ]【電子書籍】

読了:数の発明[ケイレブ・エヴェレット/屋代通子]

数の発明

数の発明

  • 作者:ケイレブ・エヴェレット/屋代通子
  • 出版社:みすず書房
  • 発売日: 2021年05月08日頃

数万年前の狩人が骨に残した刻み目、1+1を理解する新生児のまなざし。数を持たないピダハン族と暮らした著者が縦横に語る、数の誕生の軌跡。

序 人間という種の成功/第1部 人間の営為のあらゆる側面に浸透している数というもの(現在に織り込まれている数/過去に彫りこまれている数/数をめぐる旅ー今日の世界/数の言葉の外側ー数を表す言い回しのいろいろ)/第2部 数のない世界(数字を持たない人々/幼い子どもにとっての数量/動物の頭にある数量)/第3部 わたしたちの暮らしを形作る数(数の発明と算術/数と文化ー暮らしと象徴/変化の道具)

ヒトにもともと備わっている数認識能力は次の2点らしい。
・3程度までの個数認識は一瞬で行える
・3より大きい数認識についてはある程度の量差がある集合のどちらが多いかを判断できる

ヒトは、3より大きな量を安定して正確に識別するためには、数の言葉を使って稽古を積むことが必要である

3より大きい量を具体的に認識する(数える)ためには訓練が必要で、それによりヒトは大きな数を実際に数えることができるようになっていくのだとか(3までと3より大きい数の数え方はシームレスではない?)。こういったことを言語学、人類学、生物進化学などさまざまな視点からどういうことなのかを実験例をひいて説明していく。なかなか興味深い。

農業革命は人類が桁の大きな数を見出していなければ起こりえなかった

数の発明[ケイレブ・エヴェレット/屋代通子]

読了:男たちを知らない女(ハヤカワ文庫SF)[クリスティーナ・スウィーニー=ビアード/大谷 真弓]

男たちを知らない女

男たちを知らない女

  • 作者:クリスティーナ・スウィーニー=ビアード/大谷 真弓
  • 出版社:早川書房
  • 発売日: 2022年02月02日頃

災厄は英国、グラスゴーから始まった。救急外来にきた男性が次々に死んでいったのだ。最初は一般的なインフルエンザの症状に思えたが、男だけが数日で息を引きとってしまう。男児は生まれてすぐ死んでいき、免疫のある男性は十人に一人。この恐るべき疫病はまたたくまに広がり、やがて全世界で人類の半分が亡くなったー愛する者を失い、男性のいない新しい世界を生きていく女たち。衝撃の近未来破滅SF。

スコットランドから始まったウイルス感染は瞬く間に世界へと広がる。このウイルスに感染すると、男性の9割が亡くなる(1割は何らかの免疫を持っていて生き延びる)。女性は感染しても亡くならないが、それでも家族を失う者が続出。男性がほとんどいない世界へと変わっていく。疾病の発生にはじまって新しい世界の構築に向かいだす5年ほどをドキュメンタリー風に描いたSF作品。

原作は2020年前半、まさにコロナ禍の初期に出版された(書かれたのはコロナ禍よりも前になる)。それがさ、もうホントに今現在目にしているコロナ禍の世界混乱の光景と似たようなものが作品中に描かれているのだ。旅客機の国際線停止と再開、ワクチン開発競争、各国の接種プログラム、世界秩序の変化など。

邦題「男たちを知らない女」はちょっと受ける印象が異なるかも。実際には男性はまったくいなくなったわけではないのでなんか違うかなという感じ。あくまで男性人口が極端に減ったというだけで身の回りからまったくいなくなったわけではない。強いて言うなら、主人公の一人が産んだ娘は、男性がほぼいなくなった世界を生きていくわけで、その子が生きていく世界を慮った母親の想いにそれに近いことはちょっとだけ書いてはあるが。ちなみに原題は「The End of Men」。

作風は、先だって読んだ「ダリア・ミッチェル博士の発見と異変」に似ているか。どちらも同時代のある世界的事件の顛末を追うドキュメンタリー仕立てである。

読了:ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日(竹書房文庫 と4-1)[キース・トーマス/佐田 千織]

男たちを知らない女(ハヤカワ文庫SF)[クリスティーナ・スウィーニー=ビアード/大谷 真弓]
男たちを知らない女[クリスティーナ スウィーニー=ビアード]【電子書籍】

読了:危機と人類(上/下)[ジャレド・ダイアモンド]

危機と人類(上)

危機と人類(上)

  • 作者:ジャレド・ダイアモンド/小川 敏子
  • 出版社:日経BP 日本経済新聞出版本部
  • 発売日: 2020年10月05日頃

遠くない過去の人類史から学ぶべき、危機対応の叡智とは何か。『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』『昨日までの世界』で知られるジャレド・ダイアモンド博士が、日本、フィンランド、チリ、アメリカなど国家的危機に直面した世界7カ国の事例から、全世界が一致して持つべき危機への認識を解き明かす。文庫化にあたり、世界が直面するコロナ禍を分析した序章を新たに追加。

プロローグ ココナッツグローブ大火が残したもの/第1部 個人(個人的危機)/第2部 国家ー明らかになった危機(フィンランドの対ソ戦争/近代日本の起源/すべてのチリ人のためのチリ/インドネシア、新しい国の誕生)

危機と人類(下)

危機と人類(下)

  • 作者:ジャレド・ダイアモンド/小川 敏子
  • 出版社:日経BP 日本経済新聞出版本部
  • 発売日: 2020年10月05日頃

国家的危機に直面した国々は、選択的変化によって生き残るーでは、現代日本が選ぶべき変化とは何か。現代日本は、基本的価値観を再評価して取捨選択し、「新常態」に適応できるか。そして人類はいま全世界を襲う危機に対し、協調した行動をとれるだろうか。国家的危機を左右する12の要因は、世界の危機にも応用できるのか。博覧強記の著者が解決への道筋を提案する。

第2部 国家ー明らかになった危機(承前)(ドイツの再建/オーストラリアーわれわれは何者か?)/第3部 国家と世界ー進行中の危機(日本を待ち受けるもの/アメリカを待ち受けるものー強みと最大の問題/アメリカを待ち受けるものーその他の三つの問題/世界を待ち受けるもの)/エピローグ 教訓、疑問、そして展望

近現代史における国家の危機と克服の例7つを紹介。そして著者の克服のための12分類フレームワークによる検討。どういう危機に直面しどのように乗り越えたのか。そして、日本とアメリカを例としてそれぞれの国が現在直面している危機は何か?さらに私たちがこれから直面するだろう危機は何で、それを乗り越えていくにはどうすればよいのか?を考察する。近現代史としてあまり詳しくは勉強していない話題が多いので(日本の部を除く)おもしろかった。無知は怖いねぇと思ったり思わなかったり。日本の部も含めて欧米の知識人がどのように世界をとらえて考えているのかを垣間見れるという面からもおもしろい。(さすがに日本のデートにおけるケータイ会話はジョークの類かと思うが)

危機と人類(上)(日経ビジネス人文庫 B たー21-3)[ジャレド・ダイアモンド/小川 敏子]
危機と人類(下)(日経ビジネス人文庫 B たー21-4)[ジャレド・ダイアモンド/小川 敏子]
危機と人類(上)(危機と人類)[ジャレド・ダイアモンド]【電子書籍】
危機と人類(下)(危機と人類)[ジャレド・ダイアモンド]【電子書籍】
危機と人類(上下合本版)(危機と人類(上下合本版))[ジャレド・ダイアモンド]【電子書籍】

読了:一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書[山崎 圭一]

一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書

一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書

  • 作者:山崎 圭一
  • 出版社:SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018年08月20日頃

一般的な教科書と違い、年号を使わずにすべてを数珠つなぎにして「1つのストーリー」として解説。読むだけで高校の世界史の知識が一生モノの教養に変わる!

序章 人類の出現・文明の誕生/第1章 ヨーロッパの歴史/第2章 中東の歴史/第3章 インドの歴史/第4章 中国の歴史/第5章 一体化する世界の時代/第6章 革命の時代/第7章 帝国主義と世界大戦の時代/第8章 近代の中東・インド/第9章 近代の中国/第10章 現代の世界

「一度読んだら絶対に忘れない」かと言われれば、やっぱり忘れるものは忘れる。また丸腰でこの本を読んでも世界史がわかるといったことはないです。とりあえず一通り世界史の授業は受けたけれどもなんだかすっきりしないんだよねという人、大人になってもう一度世界史で習ったことを思い出したい方が対象か。

授業で習う世界史の問題点は、歴史と地域をぶつ切り細切れにして、あっちいったりこっちいったりするから全体像がつかみにくいところだと思う。一通り教科書や授業で習った後に「ヨーロッパ史」「中国史」「文化史」だとかのテーマを決めたりなんかして習ったことを各自が再構築することで世界史の知識は定着していくものなのね。その再構築を手伝ってくれるツールが本書です。世界史の流れを10区分にわけて物語風にまとめてあるので、あの知識はそういう風な流れに位置づけられるのねということを確認していくのに最適。

厳選された重要語句が説明もなくしれっと出てくるので初学者にはさっぱりだろう。一方でストーリーは大まかな流れ重視なので(世界史の上澄みダイジェスト)、ある程度学習した者には物足りないといった感じ。これ1冊で入試に対応できるかと問われればとうてい無理。使いどころを間違えなければ良い本だと思う。

一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書[山崎 圭一]
一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書[山崎 圭一]【電子書籍】

読了:卒業したら教室で(創元推理文庫)[似鳥 鶏]

卒業したら教室で

卒業したら教室で

  • 作者:似鳥 鶏
  • 出版社:東京創元社
  • 発売日: 2021年03月11日頃

市立高校にまた卒業の季節がやってきた。柳瀬さんをはじめ仲のよかった先輩たちが巣立っていく。そんな三月の放課後、秋野麻衣が不可解なものを見たと相談に。真っ暗なCAI室で鍵をかけ、誰かが電源も入れずパソコンで何かしていたらしい。どうやら校内八番目の七不思議、神出鬼没の「兼坂さん」と判明し、葉山君たちは真相解明に奔走するが…。“市立高校シリーズ”最新長編。

あぁ、葉山君がマジな恋愛なんかしちゃだめだよとか思っちゃったけれども、ベタベタな展開にはならなかったうえに結論をぼかされたのでまぁよし。葉山君はマジメだけれどもどこか抜けているツッコミ役に徹していて欲しいのだ。

今回は、凝った作りをしている。葉山君の1学年上の柳瀬さんの卒業を迎えた時期に起こった「兼坂(んねさか)さん」事件と、それから15年後のシーン、そしてラノベ魔法小説の3本が絡み合って進行していく。作中の謎は2つ。「兼坂さん」事件の真相と、「兼坂さん」事件を題材にしたと思われる魔法小説の作家の正体。昨年すでに卒業した伊神さんがシリーズを通して卒業後もなんだかんだと謎ときにやって来ていたわけも判明。

卒業したら教室で(創元推理文庫)[似鳥 鶏]
卒業したら教室で(市立高校シリーズ)[似鳥鶏]【電子書籍】

読了:会計の世界史[田中 靖浩]

会計の世界史

会計の世界史

  • 作者:田中 靖浩
  • 出版社:日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018年09月27日頃

「会計ギライ」の方を悩ませる、数字および複雑な会計用語は一切出てきません。「世界史ギライ」の方をげんなりさせる、よく知らないカタカナの人や、細かい年号もほとんど出てきません。登場するのは偉人・有名人ばかり。冒険、成功、対立、陰謀、愛情、喜びと悲しみ、芸術、発明、起業と買収…波乱万丈、たくさんの「知られざる物語」が展開します。物語を読み進めると、簿記、財務会計、管理会計、ファイナンスについて、その仕組みが驚くほどよくわかります。

第1部 簿記と会社の誕生(15世紀イタリア 銀行革命/15世紀イタリア 簿記革命/17世紀オランダ 会社革命)/第2部 財務会計の歴史(19世紀イギリス 利益革命/20世紀アメリカ 投資家革命/21世紀グローバル 国際革命)/第3部 管理会計とファイナンス(19世紀アメリカ 標準革命/20世紀アメリカ 管理革命/21世紀アメリカ 価値革命)

タイトル買いをしたので堅苦しい会計史の書物かと思っていたんだけれども、中身は雑学漫談風の読み物だった。気軽に読めてわかりやすい。
簿記として経営者の覚えからスタートした体系的な会計は、ヨーロッパからアメリカへと渡り、経営管理や未来の出資者説明のためのものへと発展していく。会計の歴史だけではなく、第1部では絵画の歴史、第2部では交通機関の歴史、第3部では大衆音楽の歴史と絡めた物語仕立てになっている(この本の優れた特徴)。

会計の世界史[田中 靖浩]
会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカーー500年の物語(会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカーー500年の物語)[田中靖浩]【電子書籍】

読了:時間は存在しない[カルロ・ロヴェッリ/冨永 星]

時間は存在しない

時間は存在しない

  • 作者:カルロ・ロヴェッリ/冨永 星
  • 出版社:NHK出版
  • 発売日: 2019年08月29日頃

時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもないー。“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が、本書の前半で「物理学的に時間は存在しない」という驚くべき考察を展開する。後半では、それにもかかわらず私たちはなぜ時間が存在するように感じるのかを、哲学や脳科学などの知見を援用して論じる。詩情あふれる筆致で時間の本質を明らかにする、独創的かつエレガントな科学エッセイ。

第1部 時間の崩壊(所変われば時間も変わる/時間には方向がない/「現在」の終わり/時間と事物は切り離せない/時間の最小単位)/第2部 時間のない世界(この世界は、物ではなく出来事でできている/語法がうまく合っていない/関係としての力学)/第3部 時間の源へ(時とは無知なり/視点/特殊性から生じるもの/マドレーヌの香り/時の起源)

著者の研究テーマ紹介を兼ねた「時間」とは何かに関する刺激的なエッセイ。
大きく3部構成になっている。

第1部は、物理の世界における時間について。相対性理論において時間の速さは観測者ごとに異なるという話から。そこから量子レベルまで掘り下げていくと、時間にも最小単位(プランク時間)というものがあって、連続ではないらしい。

第2部は、量子レベルに至ったので、著者の研究している「ループ量子重力理論」について。この理論によると、世界は粒子の関係性だけで表現できるそう。そこに時間を表す変数は含まれていない。時間というものは物理的には存在しないのだ。

第3部、じゃ、私たちが感じている「時間」とは何なのか?今度は量子レベルからマクロの世界へ向かっていき、どこで時間というものが生じるのかを考察する。エントロピー増大の法則が登場するあたりで時間の感覚というものが生じるのであるが、ここでのキーは「記憶」だそうな。そして「記憶」と「時間」について人類が古来どのように考察して来たのかを人文科学にまで広げて述べていく。

時間は存在しない[カルロ・ロヴェッリ/冨永 星]
時間は存在しない[カルロ・ロヴェッリ]【電子書籍】