読了:物理の4大定数 宇宙を支配するc、G、e、h(幻冬舎新書)[小谷 太郎]

物理の4大定数 宇宙を支配するc、G、e、h

物理の4大定数 宇宙を支配するc、G、e、h

  • 作者:小谷 太郎
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日: 2022年07月27日頃

光速c、重力定数G、電子の電荷の大きさe、プランク定数h。これらの基礎物理定数は日常から宇宙までを支配する法則が数値となったものだ。我々はふだん物理定数など意識せずに暮らしているが、この値が違えば太陽はブラック・ホールと化し、人類は地球にいられず火星に住むハメになり、宇宙の姿は激変する。本書では人類がいかにして4大物理定数を発見したか、そのことでどんな宇宙の謎が解け、またどんな謎が新たに出現したかを解説。相対性理論、宇宙の構造、素粒子や量子力学までわかる画期的な書!

第1章 光速cで特殊相対性理論がわかる(宇宙のどこで測っても変わらない量/4大定数は「偉い」物理定数 ほか)/第2章 重力定数Gで宇宙の構造がわかる(地球が丸いのも重力のおかげ/「重さ」と「質量」は別のもの ほか)/第3章 電子の電荷の大きさeで素粒子がわかる(電気現象は電子と陽子という粒々が起こしている/電気の量を測るには ほか)/第4章 プランク定数hで量子力学がわかる(ラスボス・プランク定数h/プランク定数は考案者にも謎の定数だった ほか)/第5章 物理の4大定数で単位が決まる(単位とは「物理定数の何倍であるか」を述べたもの/メートルの誕生 ほか)

物理の4大定数、光速のc、重力定数のG、電子の電荷の大きさのe、プランク定数のhについての入門書。これらの物理定数がどのように定義されて、その値はどのように計測されてきたのか、またその定数は物理現象の何を表しているのかを分かりやすく解説してくれる。もし物理定数がこの値と違っていたら、この世界はどのようになるかという思考実験付。高校生や、「物理学なんて勘弁してくれぇ」な大人でも親しめるように、式をほぼ使わず平易な言葉で書かれ、そして随所に「これは覚えなくていいです、わからなければ飛ばしていいです」とあるので気楽に読める。とはいえ、光速は相対性理論、電子は素粒子理論、プランク定数は量子力学の話なわけで、いくら平易な言葉でわかりやすく解説してくれても、日常の実感からは想像しがたい世界は具体的にイメージしづらいよなぁというのがこの手の話。

物理の4大定数 宇宙を支配するc、G、e、h(幻冬舎新書)[小谷 太郎]
物理の4大定数 宇宙を支配するc、G、e、h[小谷太郎]【電子書籍】

読了:孟嘗君 全5冊合本版(孟嘗君)[宮城谷昌光]【電子書籍】

孟嘗君(1)

孟嘗君(1)

  • 作者:宮城谷 昌光
  • 出版社:講談社
  • 発売日: 1998年09月

斉の君主の子・田嬰(でんえい)の美妾・青欄(せいらん)は、健やかな男児・田文(でんぶん)を出産した。しかし、5月5日生まれは不吉、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母・青欄が秘かに逃がした赤子は、奇しき縁で好漢風洪(ふうこう)に育てられる。血風吹きすさぶ戦国時代、人として見事に生きた田文こと孟嘗君とその養父の、颯爽たる人生の幕開け。宮城谷昌光の大作『孟嘗君』全5冊を、ひとつにまとめてお届けします。

孟嘗君といえば漢文で習う、食客が鶏の声の真似をし函谷関を抜けて秦国から脱出するエピソードが有名だよね。正直言って孟嘗君といえばその話しか知らないんだけれども、これは新聞小説として掲載されていた孟嘗君の生涯を描いた大作。前半(3巻あたりまで)は、運命に翻弄される赤子の孟嘗君なのでしゃべらないし、主人公は養い親の風洪(後半では名を改めて白圭)。この孟嘗君が人との関係を大切にし様々な人物と関わり、慕われ、やがて各国の宰相を歴任するまでになっていく。

中国の歴史ものにありがちなようにとにかく登場人物が多い。古代中国戦国時代の数々の有名人をはじめ、関係者がてんこ盛り。しかもどの人物もみんな主人公であるかのようなその描写が濃厚でおなか一杯。それぞれの人生が綾なす織物の糸のように出会ったり別れたりを繰り返す。同盟を結んだり裏切ったりもしょっちゅう。また登場人物の名前や地名は日本では日ごろ使わないような漢字が使われていたりでなかなか覚えられない。一人の人物でも名前や役職とか家族関係とかで複数の呼ばれ方をする。それにもかかわらずすごく読みやすいのだ。新聞小説ということもあるんだろうけれども、人名や地名のルビを数ページごとに頻繁に何度も振ってくれるし、なじみのない言葉や用語は適宜解説してくれる。人物のエピソードや、再登場のときは前回登場した時の説明も入れてくれて、とにかく親切。一気に読み切った。

孟嘗君 全5冊合本版(孟嘗君)[宮城谷昌光]【電子書籍】

読了:人生の約束(幻冬舎文庫)[山川健一]

人生の約束

人生の約束

  • 作者:山川健一
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日: 2015年11月

IT企業のカリスマ経営者である祐馬。仕事に没頭する日々の中、かつての共同創業者であり親友の航平が、故郷で死んだことを知る。同じ頃、会社では不正取引が発覚し…。何もかも失った祐馬が、友の愛した故郷、家族や仲間達のため選んだ道とはー人生は失くしてから気づくことばかり。孤独の先にかけがえのない大切なものを見出す感動小説。

2016年の映画「人生の約束」のノベライズ。もとの映画がまったくノーマークだった(その存在さえ知らんかった)。結構な俳優が出てるんだね。

映画のノベライズなので、なんだか浅くて臭い。いや、ストーリーは面白いんだよ。「映像の作品が先でそれをノベライズしたんだなぁ」という感じ。男の友情物語ではあるんだけれども、映画のあらすじを読んでいるみたい。小説としての深みや緻密さが足りない。

人生の約束(幻冬舎文庫)[山川健一]
人生の約束[山川健一]【電子書籍】

読了:世にも奇妙な君物語(講談社文庫)[朝井 リョウ]

世にも奇妙な君物語

世にも奇妙な君物語

  • 作者:朝井 リョウ
  • 出版社:講談社
  • 発売日: 2018年11月15日頃

異様な世界観。複数の伏線。先の読めない展開。想像を超えた結末と、それに続く恐怖。もしこれらが好物でしたら、これはあなたのための物語です。待ち受ける「意外な真相」に、心の準備をお願いします。各話読み味は異なりますが、決して最後まで気を抜かずにーでは始めましょう。朝井版「世にも奇妙な物語」。

シェアハウさない/リア充裁判/立て!金次郎/13・5文字しか集中して読めな/脇役バトルロワイアル

「世にも奇妙な物語」へのオマージュ。1冊の本でやるならどうなるか?その仕掛けを最初は分からずに読んでいたから、ブラックなオチのつく短編集か?とか思っていたわけ。最後の1篇で「あぁそういうことか」と。なんか紋切型の表現が多かったりしたのも、リアルじゃないと思ったのもそういうことだったのかと。

世にも奇妙な君物語(講談社文庫)[朝井 リョウ]
世にも奇妙な君物語(世にも奇妙な君物語)[朝井リョウ]【電子書籍】

読了:若い読者に贈る美しい生物学講義[更科 功]

若い読者に贈る美しい生物学講義

若い読者に贈る美しい生物学講義

  • 作者:更科 功
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日: 2019年11月29日頃

最新の知見を、親切に、ユーモアたっぷりに、ロマンティックに語る。あなたの想像をはるかに超える生物学の授業!学生も、社会人も、全世代必読の一冊!!

レオナルド・ダ・ヴィンチの生きている地球/イカの足は10本か?/生物を包むもの/生物は流れている/生物のシンギュラリティ/生物か無生物か/さまざまな生物/動く植物/植物は光を求めて高くなる/動物には前と後ろがある/大きな欠点のある人類の歩き方/人類は平和な生物/減少する生物多様性/進化と進歩/遺伝のしくみ/花粉症はなぜ起きる/がんは進化する/一気飲みしてはいけない/不老不死とiPS細胞

膨大に広がった科学の世界で、生物学とされる分野について語る入門書。生物学とはこういうテーマを扱い研究していますという紹介みたいなものでもある。「生物」とは何かという定義から始まって、分類学や進化、遺伝、そして応用について最近の知見をもとに語る。生物学的知見の少ない一般の多くの人が勘違いしていそうな事柄についても述べられている。テクニカルタームは少なく、出てきても易しく解説されるので、非常に読みやすくわかりやすい入門書である。

「退化」の反対は、「進化」ではなく「発達」である。

若い読者に贈る美しい生物学講義[更科 功]
若い読者に贈る美しい生物学講義[更科功]【電子書籍】

読了:さよならドビュッシー(宝島社文庫)[中山七里]

さよならドビュッシー

さよならドビュッシー

  • 作者:中山七里
  • 出版社:宝島社
  • 発売日: 2011年01月

ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生するー。第8回『このミス』大賞受賞作品。

順番としてはこの「さよならドビュッシー」が先で、その続編が先日感想を書いた「おやすみラフマニノフ」。都合こっちを読むのが後になってしまった。

読了:おやすみラフマニノフ(宝島社文庫)[中山七里]

いやぁ、これも面白かった。全身大やけどを負った音楽高校の女子高生が数か月後のピアノコンクールに挑む話なんだけれども、「いやぁぁぁぁ、女子高生にこんな過酷な運命背負わせるなんて……」と思いながらも、その圧倒的な面白さにやはりページを繰る手が止まらない。寝る前にちょっとずつ読もうなんてことのできる本じゃないよ。一気読みしてしまった。

探偵役、岬先生やっぱり全能。こっちが先なので岬先生の説明とかはこっちの方が詳しい。これを踏まえて「おやすみラフマニノフ」だったところもあったのね(知らなくても全く問題はなかったのだが)。2編の時系列的には今回の話と「おやすみラフマニノフ」は独立した事件と話でありながら、ほぼ同時期で同時進行していたってことになるんだろうけれども(数か月こっちのほうが先だけれども、かぶっている期間がある)、そうしたら岬先生ってばなおさら全能感際立ってないかい?

コンクールの息の詰まる主観描写はすさまじい。予選を読んだらショパンの練習曲集Op.10を聞きたくなって、おもわず音源アルバム引っ張り出してきましたよ。

さよならドビュッシー(宝島社文庫)[中山七里]
さよならドビュッシー[中山七里]【電子書籍】

読了:おやすみラフマニノフ(宝島社文庫)[中山七里]

おやすみラフマニノフ

おやすみラフマニノフ

  • 作者:中山七里
  • 出版社:宝島社
  • 発売日: 2011年09月

第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり…。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実!美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

いやぁ、おもしろかった。面白すぎてページを繰る手が止まらなくて一気読みしてしまったよ。音楽好きにはたまらんのではないかと。

一応、ミステリーではあるんだけれども、それ自体はそんなに大したものではないし、どっかで聞いたことのある設定だなぁって感じ。

この作者の神髄は、なんといっても演奏される曲の展開描写の妙。どのような演奏なのかをまるで楽譜を見ながら曲を聴いているかのような追随体験できる。そして登場人物のその時の五感や心情を主観的に交える。これがもう本当に読んでいてスリリングなんだよ。知っている曲だとなおさら、「あぁそういう曲だった、確かにそういう感じだった」とか頭の中で曲が鳴ってしまうんだよ。メインのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はもちろん、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲も素晴らしい描写。

音大生の生態も割とリアルなんじゃなかろうか。登場人物の性格を楽器の性格に合わせすぎというか型にはまりすぎている気はするんだけれども、あぁ確かにこの楽器奏者はこういう感じの人いるいるとか思っちゃったよ。それにしても岬先生、出来過ぎじゃね?

おやすみラフマニノフ(宝島社文庫)[中山七里]
おやすみラフマニノフ[中山七里]【電子書籍】

読了:夜明けのすべて(文春文庫)[瀬尾 まいこ]

夜明けのすべて

夜明けのすべて

  • 作者:瀬尾 まいこ
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日: 2023年09月05日

PMSで感情を抑えられない美紗。パニック障害になり生きがいも気力も失った山添。友達でも恋人でもないけれど、同志のような気持ちが芽生えた二人は、自分にできることは少なくとも、相手のことは助けられるかもしれないと思うようになりー。人生は苦しいけれど、救いだってある。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。

前半は良かったんだけれどもなぁ。抱えているもののどうにもならなさ加減と今後の不安は割とリアル。そして自分のことさえままならないのに他人のことを構っていられない、周囲も理解するのが難しいし実のところ対処の仕方を知らない。そんな中でなんとか生活を保ちつつやりすごす日々。後半は話がうまくいきすぎじゃない?夜明け早すぎない?短中編なので、この夜明けの早さにびっくり。そんなお手軽に世の中うまくいくなら苦労せんよと思ったり思わなかったり。いや、さわやかで良い話にまとまっているけれどもさ、現実はもっとままならないよって。

夜明けのすべて(文春文庫)[瀬尾 まいこ]
夜明けのすべて(夜明けのすべて)[瀬尾まいこ]【電子書籍】

読了:幼年期の終り(ハヤカワ文庫)[アーサー・チャールズ・クラーク/福島正実]

幼年期の終り

幼年期の終り

  • 作者:アーサー・チャールズ・クラーク/福島正実
  • 出版社:早川書房
  • 発売日: 1979年04月

ハインライン「夏への扉」に続く古典SFを読もう第2弾は、アーサー・クラーク「幼年期の終り」。

読了:夏への扉〔新版〕(ハヤカワ文庫SF)[ロバート・A・ハインライン/福島 正実]

詩的な表現がクラークらしいんだけれども、結末はちょっと哀しい話だった。それが宇宙の上位者の摂理に基づいた運命というものなのか。

冷戦時代、ソ連とアメリカどちらが先に宇宙に到達するかという正念場に、突然地球各地に現れた異星人オーバーロードの大型宇宙船。そこから1世紀半に渡る人類とオーバーロードの関係が3つの時代で描かれる。当初はかたくなに人類に姿を見せなかったオーバーロードであったが、その先進的な技術でもって人類の差しあたっての問題を解決してしまった。人類はもはや戦争や飢えに苦しむことはなくなった。それでいてオーバーロードは人類に対して過剰な干渉はしてこないが、去るわけでもない。まるで人類を観察しているかの如く。彼らが地球へやってきた目的は何なのか。

幼年期の終り(ハヤカワ文庫)[アーサー・チャールズ・クラーク/福島正実]
幼年期の終り[アーサー C クラーク/福島 正実]【電子書籍】

読了:もうすぐ絶滅するという紙の書物について[ウンベルト・エーコ/ジャン・クロード・カリエール]

もうすぐ絶滅するという紙の書物について

もうすぐ絶滅するという紙の書物について

  • 作者:ウンベルト・エーコ/ジャン・クロード・カリエール
  • 出版社:CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010年12月

紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?書物の歴史が直面している大きな転機について、博覧強記の老練愛書家が縦横無尽に語り合う。

本は死なない/耐久メディアほどはかないものはない/鶏が道を横切らなくなるのには一世紀かかった/ワーテルローの戦いの参戦者全員の名前を列挙すること/落選者たちの復活戦/今日出版される本はいずれもポスト・インキュナビュラである/是が非でも私たちのもとに届くことを望んだ書物たち/過去についての我々の知識は、馬鹿や間抜けや敵が書いたものに由来している/何によっても止められない自己顕示/珍説愚説礼讃/インターネット、あるいは「記憶抹殺刑」の不可能性/炎による検閲/我々が読まなかったすべての本/祭壇上のミサ典書、「地獄」にかくまわれた非公開本/死んだあと蔵書をどうするか

ヨーロッパを代表する二人の知の巨匠(ともに故人)による「紙の本」をテーマとした座談会。本というものに関して次々と二人の知識が開陳される。その博覧強記ぶりがすごい。知の巨匠であっても自分の本棚に入れてある本というのはすべて読んでいるわけではなく、読まなければいけないものでもなく、「読んでもいいかな」という本の集合でいいという話題には救われる。

阿呆というのは、間違えるだけでは飽き足らないんですね。間違った考えを強く声高に肯定し、主張し、みんなに聞いてもらいたがります。阿呆な連中の騒々しさといったら驚くほどです。「今では確かな筋からの情報により次のようなことがわかっています……」と言ったあとに続くのは、とんでもないデタラメなんです。
「珍説愚説礼賛」より

地球人の大半は、書店や図書館とは縁のない生活をしています。そういう人々にとっては、書物は無意味な代物です。
「祭壇上のミサ典書、「地獄」にかくまわれた非公開本」より

もうすぐ絶滅するという紙の書物について[ウンベルト・エーコ/ジャン・クロード・カリエール]
もうすぐ絶滅するという紙の書物について[ウンベルト・エーコ/ジャン=クロード・カリエール/工藤妙子]【電子書籍】