■ シュレッダー“自壊”で価値上がる? バンクシーとアート資本主義のジレンマ
■ ゴミと間違えられた現代アート→「救出」後の館長コメントが超ブラボー!【作者は激怒】
まぁ、こんなあたりの記事からはじめて、前衛芸術に関してラフが思っていることを、美術、音楽、文学あたりについて書いてみようかなと考えていたんだけれども、時間がないのでまた今度。ネタの覚書みたいなものということで。このまま忘れてしまうかもしれないけれども。
■ シュレッダー“自壊”で価値上がる? バンクシーとアート資本主義のジレンマ
■ ゴミと間違えられた現代アート→「救出」後の館長コメントが超ブラボー!【作者は激怒】
まぁ、こんなあたりの記事からはじめて、前衛芸術に関してラフが思っていることを、美術、音楽、文学あたりについて書いてみようかなと考えていたんだけれども、時間がないのでまた今度。ネタの覚書みたいなものということで。このまま忘れてしまうかもしれないけれども。
全編にわたり何度か登場する著者の家族のエピソードが、実は身近な遺伝子という思いを強くする。
上巻は、19世紀後半ダーウィンの進化論とメンデルの実験から始まって、現在の遺伝子組み換え技術に至る、遺伝子の正体を明らかにしていく生物史。高校生物~大学教養生物で習う内容だけれどもエキサイティングな読み物としてとてもまとまっていて非常に面白い。上巻だけでも読む価値十分にあり。
下巻は人類遺伝学(ヒトゲノムプロジェクト、遺伝子治療、遺伝子診断)の話題。実際の例をいくつか、どんな患者がどんな経緯でどんな治療を受けて、それにかかわる科学者や医者がどうなったか臨場感あふれる筆致で具体的に描かれていて、すごく面白い。遺伝子組み換えからゲノム編集に向かう中で科学的側面だけでなく、倫理面を含めた社会的側面も無視できなくなってくる現状と未来。
日本語訳はとても正確でそのうえ丁寧で好感が持てるが、まれに??な訳(語彙レベル)あり。
■ 遺伝子ー親密なる人類史ー 上【電子書籍】[ シッダールタ ムカジー ]
■ 遺伝子ー親密なる人類史ー 下【電子書籍】[ シッダールタ ムカジー ]
1200年にわたるローマ史の軽めダイジェスト。「教養としての」とついていることから推察されるように、「ローマはなぜ帝国を築けたのか」「ローマはなぜ衰退したのか」の2点について、ローマ史のエピソードを通じて考察し、現代のわれわれはそれをどう生かしていくかというスタイルで記述されている。よって解釈が常に「現代のわれわれから考えるに」というフィルターがかかっているのだ。ゆえにいかんせん説教臭い。「ローマ史」の読み物としての面白さは塩野七生の「ローマ人の物語」の方が圧倒的に上。もっともそれは塩野七生はあくまでも作家として記述しているわけだし、臨場感があって面白いのは当たり前なんだけど。でもまぁ、教養として知っておくとよい最低限のローマ史の知識はこの本で得られるし、ローマ史の流れをざっと復習するにはお手軽でいいんじゃないかな。
ヒトゲノム計画とか一時期流行っていたけれども、じゃ今結局何がどうなったの?ってところをヒト遺伝学を中心に述べたサイエンス啓蒙書。DNAに書かれている情報が全部わかったからと言って、克服された病はまだ一つもないという事実とか、犯罪者遺伝子が判ったとかいう荒唐無稽なことはありえないとか、ゲノム計画で神が意図したもうた計画をお手軽にくみ取れるようになったはずなんて思っていた人には残念な報告かもね。じゃゲノム計画は無駄だったのかというと、全然そんなことはない。分かったことだっていっぱいあって世間に還元されているんだよ。作者がイギリス人ということもあってヨーロッパの話題がダントツに多いのはご愛敬。ポストゲノム時代において適切なサイエンスリテラシーを身に着ける必要があるという警鐘が一番ためになったかも。また脚注が作者の人柄を反映していてすごく面白い。とくにスパイダーマンの下りはニヤッとした。
一時期大ブレークした数学ノンフィクションをようやく読んだよ。数論の出来はじめから、フェルマーの予想(彼自身は証明したと言っているが、紙面が足りなくてここには書けないとだけ走り書きを残している)、350年にわたる証明へのチャレンジの歴史、数学者ワイルズによる証明の道のり、そしてフェルマーの最終定理証明後に残されたものは?。モジュラーあたりから証明の詳しいところは分からなくなったけれども、背理法、帰納法といったことさえわかっていれば大筋を見失うこともなく読み進めていける。数学上の証明ってこんなに厳しいものなんだなぁと思うものの、それでもチャレンジせずにはいられないってところが人の人たる所以でもあるんだなぁ。そして多くの日本人数学者の業績もワイルズの証明に寄与してるんだなぁとか思いながら一気に読んだ。
抜群に面白かった。そうかぁ、十字軍時代の200年に、地中海の突き当り中近東の海沿いにはキリスト教諸国があったんだなぁ。全然知らなんだ。
昔習ったおぼろげなる世界史の知識でラフが「十字軍」について知っていることすべて
■イスラムの勢力拡大に危機感を感じたビザンツ帝国皇帝からの応援要請を受け、ローマ教皇が呼びかけた中世ヨーロッパの聖地奪還運動。イェルサレムは奪還したもののすぐに奪い返されている。第4次十字軍はあろうことかビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを陥落させる。結局はうまくいかなかった宗教運動。
こんなくらいしか知らなかったんだよ。ドラマにしても映画にしても文学にしても、とにかくモチーフにされることの多い十字軍の歴史を、塩野七生がまとめてくれたんだから面白くないわけがない。
説き起こしは、「カノッサの屈辱」から。第1巻は第1次十字軍を中心に、中近東におけるキリスト教諸国の起こりと聖地イェルサレムの奪還。第2巻は、大した成果はなかった第2次十字軍をちょろっと述べるが、基本的にはその前後のキリスト教諸国の出来事を。第3巻では第3次十字軍から第8次十字軍までと十字軍後日譚。そして締めくくりは「アヴィニョン捕囚」。「カノッサの屈辱」から「アヴィニョン捕集」と教皇権の絶頂から衰退までが、十字軍の歴史を包含している。十字軍の失敗がローマ法王の権力の失墜を招いたわけではなく、十字軍はヨーロッパの世俗の諸侯や王たちのパワーバランスを崩してしまったことで、教皇の権力の失墜を招いたと述べる点は納得。
また、イスラム側の状況もきちんと追ってくれているので、アイユーブ朝、マムルーク朝の勃興が十字軍と密接にかかわっている点を改めて認識できた点は、感動的ですらあった。
■ 十字軍物語 第一巻 神がそれを望んでおられる (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]
■ 十字軍物語 第二巻 イスラムの反撃 (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]
■ 十字軍物語 第三巻 獅子心王リチャード (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]
■ 十字軍物語 第四巻 十字軍の黄昏 (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]
ゲルマン民族ヴァンダル族王国史。もともとヴァンダル族はスカンジナヴィア半島の出だとされている。かれらはいわゆる「ゲルマン人の大移動」とされる時代に、ドイツ>ガリア(フランス)>スペイン>ジブラルタル海峡をアフリカに渡り最終的にはカルタゴまで移動した。海賊業で地中海を鳴らしたものの王国は跡形もなく滅びてしまう。
この時代の主要なゲルマン民族としては、ガリアのフランク族、イタリアの東ゴート族、スペインの西ゴート族、アフリカのヴァンダル族、それから分裂したての東西ローマ帝国(西ローマは476年に早くも滅亡)との関わり、キリスト教カトリックとアリウス派の対立(ローマはカトリック、ゲルマン民族は基本的にはアリウス派)を軸に話が展開される。
後半に向かってとにかく人名がたくさん出てくるんだけれども、聴きなじみのない響きの名前ばかりで、だれがどの国の人?えと誰の子供だっけ?誰と誰が対立してるんだっけ?とか大混乱。ある程度この時代に関する知識がないと厳しいかも。ただ、松谷氏の文体は一文が短く講談風に読めるので、分からなくても筋だけ追うならさくさくとは読める。アフリカにまで渡ったゲルマン民族ヴァンダル族に興味があればぜひ。
紀元前1年の翌年は紀元後1年つまり西暦1年。西暦0年という年は存在しない。
【補足】天文学は除く
以前からいつか読まなければと思っていたジャレド・ダイアモンド著の「銃・病原菌・鉄」。ピュリツァー賞受賞の現生人類の進化と文明史。「銃」「病原菌」「鉄」そのものをテーマにした作品ではなく、人類が他地域への侵攻をする際に重要となったものを象徴的に挙げてタイトルにしているに過ぎない。
人類の他地域への侵攻が成功したかしなかったかは、成功したほうの人類が優れているからだという思い込みを否定している。主な要因は地理的あるいは時間的なものであるとする。説明するさいに疑問として提案するものが、天然痘は旧世界から新世界へ広がったが逆じゃないのはなぜ?ユーラシア大陸では馬を家畜化したのにアフリカ大陸ではシマウマを家畜化しなかったのはなぜ?という感じで、「なるほどなぁ、そういう見方で考えれば確かにおもしろい」と思うものばかり。
ただし解説がとにかく懇切丁寧すぎて、今読んでいる話題が全体の流れの中のどの部分なのかを見失うことしばしば(その章の中でさえも)。これは自分の読解力が拙いだけなのかもしれないが、とにかく読みきるのに数ヶ月もかかってしまったよ。さくさくと読み進められなかったのはちょっとつらかった。そうはいっても、じゃ余計な論点やつまらない記述であふれているのかというとそういうわけではなく、どの部分もそのものの話題は面白くてそれゆえに、今どんな文脈でその話しているんだっけ?ということがわからなくなる感じ。
日本語訳にちょっと引っかかる部分がいくつか(個人的思い込みによる部分はあるかも)。例を挙げると
・「アンナ・カレーニナの原則」:自然システムの例としてたとえるのであるから「法則」の方が適切では?
・「自然淘汰」:学術書でもあるわけだから学術用語としての「自然選択」を使うほうがよいのでは?そのほうがより文脈にも則するし。
・「ユーラシア大陸にくらべて、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸、そしてオーストラリア大陸では動物の家畜化が進まなかった。その理由は、~」という文を読めば、当然以下に動物の家畜化が進まなかった理由が書いてあると思いながら読むよね?でも実はそうじゃないんだよ、この文は。そのあと4,5行後にようやく文末がくるんだけれども、そこには「~からなのだろうか。」とあるんだよ。疑問文だよ、疑問文。衝撃の文末だよ。激しく脱力だよ。ヘナヘナってなったよ。おそらく英語の構文的には文頭で判断できるのだろうが、これは日本語訳に失敗しているよな。再度この4、5行を読み直す気力はなく、トホホな気分でトボトボと先に進んだよ。こういう点でも読みにくさを感じた。
■ 文庫 銃・病原菌・鉄 上 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) [ ジャレド・ダイアモンド ]
■ 文庫 銃・病原菌・鉄 下 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) [ ジャレド・ダイアモンド ]