S吹奏楽団の初見大会とかでも思うのだが、多くの人がなぜか無視する音楽用語の一つが、 stringendo だと思う。 stringendo と書いてあったらテンポが上がっていくもんだろうがと俺は常々思っているのであるが、テンポが上がる楽語だと知らない人が多いようだ。というか、はっきりと書いてあっても知らないからか気にもしていないようなのだ。 ritardando とか allargando がテンポゆっくりになっていくのと反対に、 accelerand がテンポ早めていく語であるが、 stringendo もテンポ上がっていくんだよと強く主張しておきたい。無視してはダメだよ。
吹奏楽の世界では、もはや定番であり多くの人に支持されている酒井格の人気デビュー曲「The seventh night of July」(通称「たなばた」)、この曲の最後にもはっきりと stringendo が指示されている。にも関わらずテンポが変わらずに終わってしまう演奏をあまた聴いてきた。自分はこの曲の最後に指示された stringendo に、いきいそぐ青春の生き様、青春のほとばしり、駆け抜ける青春の思い出を感じたいのであるが(そうあればこそ酒井格が高校生のときに書いた作品ゆえのみずみずしさだと思う)、それを最後までインテンポ(変わらないテンポ)で演奏された日にゃ、「お前ら(演奏団体様)の青春は、そんなにのほほんとした緩みきったパンツのゴムのような世界で終わってよかったのかよ」と突っ込まずにいられない。テンポを上げて終わる、こういうところにこそ、たなばたの魅力があると俺は信じているのだ。そういうことに思いをはせてこその音楽じゃないのか?と。