読了:ギリシア人の物語2 民主政の成熟と崩壊[塩野 七生]

黄金時代を迎えたアテネ。しかし、その崩壊の足音を手繰りよせたのは民主政に巣くうポピュリズムだったー民主政の光と影を描く、待望の第二巻。

第1巻では全ギリシアが連携してペルシア戦役を乗り越えたところまでが描かれた。今巻では、前半に指導者ペリクレスによるアテネの民主政の頂点を、そして後半ではアテネを中心とするデロス同盟とスパルタを中心とするペロポネソス同盟との間に発生した四半世紀以上にわたるペロポネソス戦争が描かれる。

後半のペロポネソス戦争がおもしろい。アテネもスパルタもお互いに正面衝突する気は全くなかったのに、それぞれの同盟加盟都市国家の争いから盟主が引っ張り出されてしまう。だらだらと続く戦役はギリシアのほぼすべての都市国家を巻き込み、舞台もシチリア島や、エーゲ海東部にまで広がり、また指導者も入れ替わってゆき、アテネもスパルタもこれまで自国を特徴づけてきた路線を外れていく。最終的にアテネはデロス同盟の崩壊とともに無残に凋落する。

次巻では、スパルタも疲弊してしまい、ギリシアに再び本格的な触手を伸ばし始めるペルシア、そしてマケドニア王国の寵児アレクサンダーの登場が描かれるようだ。

ギリシア人の物語2 民主政の成熟と崩壊[塩野 七生]
ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊(ギリシア人の物語)[塩野七生]【電子書籍】

こちらの記事もぜひ!!