帆奈がバーで隣り合ったイケメンは、死神だった!?死神は、これまでに幸せを感じたことがないらしい。なぜなら幸せを感じた瞬間…(「幸せな死神」)。貧乏神に取り憑かれていた雅人。そうとは知らず、彼は冴えない自分の人生を“小吉人生”と呼び、楽しんでいたのだが…(「貧乏神の災難」)。人生の大切なものを見失った人間の前に現れる神々たち。その意外な目的とは?優しさとせつなさが胸を打つ連作短篇集。
幸せな死神/貧乏神の災難/疫病神が微笑む/動かない道祖神/ひとりの九十九神/福の神の幸せ/御蒔け・迷う山の神
いきなり死神から始まるけれども、これがコメデイなのだ。そして最後に泣かせる。人の世に、数多の人生を見守る神様がそこかしこにいる。そして福の神の話で気付かされる。この著者は人の優しさや思いやり、可能性を信じていてそれを伝えるためにこの作品では神様にその役目を託したのだ、本当は神様ってあなたの周りにいる人たちなんだよって。
軽いノリで楽しく読めて、最後にほろっと泣かせる短編集。あぁ、いい話をありがとう。